東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて大幅続落となりました。328円安の27,928円と節目の28,000円を割り込んで寄り付いた日経平均は直後に299円安の27,958円までやや持ち直した後下げ幅を広げると9時50分に567円安の27,689円まで下落し512円安の27,744円で前場を終えました。599円安の27,657円でスタートした後場の日経平均は一段安となり14時50分過ぎに942円安の27,314円まで下落した後引けにかけてやや戻したものの上値は重く結局790円安の27,467円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も大きく下げ、東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って昨年来安値を更新しています。

2.個別銘柄等

ソニーグループ(6758)が急落し12.8%安となりました。米マイクロソフト(MSFT)がゲームソフトの米アクティビジョン・ブリザード(ATVI)を687億ドルで買収する計画を発表したことで、アクティビジョン・ブリザードの有力ゲームがマイクロソフトに独占されソニーグループのロイヤリティー収入が減るとの懸念が強まりました。一方でマイクロソフトによる巨額買収を受けて業界再編が活発になるとの思惑から世界的にゲーム開発会社が買われるなか日本市場でも知名度の高いゲームソフトを持つスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)やカプコン(9697)などが物色され、スクウェア・エニックス・ホールディングスが3.7%高、カプコンも4.6%高となりました。

また、昨日の米国市場でアプライドマテリアルズ(AMAT)やラムリサーチ(LRCX)、KLA(KLAC)など半導体製造装置株が大きく売られた流れを受けて日本市場でも半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)、アドバンテスト(6857)などが安く、東京エレクトロンが6.1%安、レーザーテックが7.1%安、SCREENホールディングスが5.6%安、アドバンテストも5.3%安となりました。

さらにトヨタ(7203)が半導体の需給逼迫が響き2022年3月期の世界生産が計画の900万台を下回る見通しだと発表したことで5.0%安となったほか、利益確定の売りが出て大手海運株の下げも目立ち日本郵船(9101)が9.3%安、商船三井(9104)が8.1%安、川崎汽船(9107)も10.3%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は790円安となりました。米長期金利が2020年1月以来の高水準となりハイテク株に売りが出て昨日の米国市場が大幅安となったことで売りが優勢になると、米株価指数先物が時間外で下げ幅を広げたこともあって節目の28,000円だけでなく27,500円も下回りました。8月安値と12月安値を結んだトレンドラインを割り込んだことで下値への警戒感が強く意識されそうですが、こうしたなかで米長期金利の動向に神経質な展開がしばらくは続くことになりそうです。

なお、日本時間の22時30分には12月の米住宅着工件数が発表されるほか、19日の米国ではバンク・オブ・アメリカ(BAC)やモルガン・スタンレー(MS)、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)などの決算発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)