年明けの米ドル/円はやや波乱含みの展開

年明け1月4日に一時116円台に乗せる動きとなった米ドル/円が、先週末には一時113円台半ば割れの水準まで下押すという、少々波乱含みの展開が足元で見られています。

日々発表される米経済指標や要人発言などを受けた反応ではあるのですが、些かに整合性を欠くところがあることも事実であり、まずはそのあたりのところを冷静に分析し、正しく相場の実体把握に務めることが肝心であると言えるでしょう。

市場の勝手に期待、勝手に失望、に注意

振り返ると、先週1月11日に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の指名承認公聴会が米上院銀行委員会で行われ、その際の議長発言を市場は「そこまでタカ派な印象ではなかった」と捉え、結果的に米ドル売りで反応することとなりました。

それまで市場ではFRBによる年内の米利上げやバランスシート縮小の可能性などに対する期待がかなり先走りしていたため、今回の議長発言は「些か拍子抜け」と映ったのでしょうが、これはよくある「勝手に期待して勝手に失望した」という類のものであると思われます。

翌1月12日には、12月の米消費者物価指数(CPI)が発表され、39年ぶりの高い伸びを示したにも拘らず「結果は予想と一致」という理由で米ドルは売り込まれました。

いわゆる「事実で(米ドル)売り」ということなのでしょうが、どうやら一部には一段のCPIの伸びに期待していた向きもあった模様です。つまり、これも「密かに期待して勝手に失望した」という類のもので、目の前のインフレ指数に対する正しい理解とそれに対しての反応とは思えません。

さらに、市場は1月13日に発表された12月の米生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったことで、今度は“素直に”米ドル売りで反応しました。

「インフレが鎮静化する可能性」を感じ取ったとの見方もあるようですが、それは1月4日に発表された12月のISM製造業景気指数で「入荷遅延」や「仕入れ価格」の項目が大きく低下していることが明らかになった時点から想定されていたものです。

加えて、1月14日に発表された12月の米小売売上高が10ヶ月ぶりの減少率となったことも米ドル売りを誘いましたが、2021年の年末に向けた米消費が供給制約の問題から11月以前に前倒しされたことは旧知の事実でした。

要は、発表される経済指標の結果や要員発言などが市場に都合よく“利用”されたに過ぎないということでしょう。

米ドル/円は115円近辺がしばらく目安に

思えば、もともと年明け1月3日、4日に一段と強まった米ドル高・円安の動きによって、そのアンワインド(巻き戻し)の動きが生じる可能性は高まっていました。そして案の定、米ドル/円にはポジション調整に伴う利益確定の売りが出て、ユーロ/米ドルにはショート・カバーの買いが一気に集まることとなったのです。

結果、米ドル/円は2021年11月30日安値から2022年1月4日高値までの上昇に対する半値押し、61.8%押しの水準を順に試しましたが、一目均衡表の日足「雲」上限まで下押したところでは急反発しています。

NY連銀総裁のタカ派発言が反発のきっかけとなった可能性もなくはないのでしょうが、これも米ドル/円の目先的なショート・カバーを仕掛けたい向きに上手く“利用”されたと見るのが自然でしょう。当座は、1月4日高値からの下げに対する半値戻しの水準となる115円近辺が戻りの目安になると見ます。

ユーロ/米ドルは戻り売りに押される形に

一方、ユーロ/米ドルは2021年10月28日高値から11月24日安値までの下げに対する38.2%戻し、半値戻しの水準を順に試した後、61.8%戻しの水準近くに到達したところでは反落しています。

ユーロ売りの具体的な材料は見当たらず、単に目先的なリバウンドの限界水準に一旦到達したことで戻り売りに押されたということになるでしょう。

結果、一目均衡表の日足「雲」の中に再び潜り込む格好となっており、当座は日足「雲」下限が1つの下値の目安ということになると見られます。仮に同水準を下抜けた場合には、改めて1.1300ドル処が意識されやすくなると思われます。