東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は反落となりました。107円安の28,658円でスタートした日経平均は寄り付きをほぼ高値に下げ幅を広げると11時前に280円安の28,484円まで下落し247円安の28,517円で前場を終えました。281円安の28,484円でスタートした後場の日経平均は14時過ぎに211円安の28,553円まで持ち直した後下げ幅を広げ大引け間際に320円安の28,444円まで下落しましたが、引けにかけてやや戻すと結局276円安の28,489円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数は3.6%安となり昨年来安値を更新しています。
2.個別銘柄等
イオン(8267)が5.7%安となり昨年来安値を更新しました。第3四半期9ヶ月間累計の営業利益は前年同期比で31.0%増となりましたが、主力の総合スーパー(GMS)事業の回復が遅れていることなどから第3四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で66.4%減と大幅な減益となったことで売りが優勢となりました。東宝(9602)も5.5%安となりました。第3四半期9ヶ月間累計の営業利益は前年同期比で64.0%増となりましたが、第3四半期3ヶ月間の営業利益が前年同期比で33.4%減と減益に転じたことが嫌気されました。ファーストリテイリング(9983)も一時3.1%安となり昨年来安値を更新しました。国内ユニクロの既存店売上高の前年割れが続いていることから本日の引け後に発表される第1四半期決算を警戒した売りが出ました。
一方で第3四半期決算を発表したエービーシー・マート(2670)が一時5.0%高となりました。自己株式を除く発行済み株式総数の1.81%にあたる150万株と75億円を上限とする自社株買いを発表したことや、株主優待を廃止し株主還元策として配当を優先する方針を示したことから大幅高となりました。半導体ウエハー搬送装置を手掛けるローツェ(6323)も9.5%高となり上場来高値を更新しました。主力の半導体関連装置が好調で第3四半期の純利益の通期予想に対する進捗率が79.4%となったことから業績の上振れを期待した買いを集めました。また、バリュー株買いの流れを受けて鉄鋼株が高く、日本製鉄(5401)が5.1%高、JFEホールディングス(5411)が3.9%高、神戸製鋼所(5406)も3.1%高となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は276円安となりました。昨日の米国市場が小幅な上昇に止まるなか昨日に500円以上上げた反動に加えて、ドル円が円高に振れたこともあって売りが優勢となりました。200日移動平均線の回復に失敗した翌日に下落となり25日移動平均線(28,669円)を下回り下げ幅を広げたことから上値の重さが意識されそうです。しかし、その一方で節目の28,500円を下回ったところでは押し目買いも入り下げ渋りました。そのため明日以降の切り返しに期待したいところですが、こうしたなかで買いが優勢となった場合には上値抵抗線としてみられやすい200日移動平均線(28,792円)を超えて水準を切り上げることができるかが引き続きポイントとなりそうです。
なお、小売り企業の決算発表が続いていますが本日の引け後にセブン&アイ・ホールディングス(3382)やオンワードホールディングス(8016)、ファーストリテイリング(9983)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の22時30分には米新規失業保険申請件数や12月の米卸売物価指数(PPI)が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)