【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 36,290.32  △38.30 (1/12)
NASDAQ: 15,188.39  △34.94 (1/12)

1.概況

米国市場は米CPIが高い伸びとなったものの市場予想並みに止まったことで金融引き締めへの過度な警戒感が後退し小幅に続伸となりました。84ドル高でスタートしたダウ平均は朝方に201ドル高まで上昇しましたが、買いが続かず伸び悩むとマイナスに転じ昼前に83ドル安まで下落しました。その後持ち直すと前日の終値を挟んで揉み合うなど方向感に欠ける展開となりましたが、引けにかけて買いがやや優勢となり結局38ドル高の36,290ドルで取引を終え続伸となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も34ポイント高の15,188ポイントと3日続伸となりました。

2.経済指標等

2021年12月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.0%上昇と11月の6.8%上昇から上昇率が加速し1982年6月以来39年6ヶ月ぶりの高い伸びとなり市場予想と一致しました。また、12月の米財政収支は210億ドルの赤字となりました。さらに米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米連邦準備理事会(FRB)は2021年の最終週の米経済が緩やかなペースで拡大したとしています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち素材や一般消費財・サービス、情報技術などの10業種が上げ、素材は1%近く上昇しています。一方でヘルスケアが下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄ではセールスフォース・ドットコム(CRM)とナイキ(NKE)、キャタピラー(CAT)、マイクロソフト(MSFT)、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が1%以上上げています。一方でゴールドマン・サックス(GS)が3%余り下げたほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)も1%近く下落しています。

ダウ平均構成銘柄以外では、バイオ製薬のバイオジェン(BIIB)が6%を超える下落となりました。米公的医療保険のメディケアを管轄するメディケア・メディケイド・サービスセンターがエーザイ(4523)と共同開発したアルツハイマー病治療薬のアデュヘルムの保険適用を治験に参加した患者に限定する方針を示したことが嫌気されました。また、同種のアルツハイマー病治療薬を開発しているイーライ・リリー(LLY)も同じ方針が適用されるのではとの懸念が出て2%を超える下落となっています。衛星テレビのディッシュ・ネットワーク(DISH)はAT&T(T)傘下で衛星放送事業のディレクTVと合併に向けた交渉を再開したと伝わったことで3%近く上げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.01%高い1.74%となりました。ドル円は円高に振れ114円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場が小幅な上昇に止まったことやドル円が円高となっていることもあって軟調なスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が25日移動平均線(昨日時点で28,647円)などを支えに下げ渋るかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)