あけましておめでとうございます。2022年もどうぞよろしくお願い致します。
2021年は香港株にとっては厳しい1年となりましたが、その分、割安感は増しているところで、長期的に見ればどこかで反転してくると思われます。もちろんどこで反転するかは中国当局の政策を始めとした材料次第ということもあり、予想しがたいところです。
香港市場が反発している要因
さて、12月後半の中国株ですが、中国本土市場は上昇、香港市場は反発となっています。12月20日終値から12月31日終値までの騰落率は、上海総合指数が+1.3%、香港ハンセン指数が+2.9%となっています。
香港ハンセン指数は反発となっていますが、これは12月20日まで大きく下落した後の自律反発的な値動きに見えます。
特に12月31日に上昇していますが、この日は大晦日で香港市場は半日立ち合いであり、取引量が少ない中(大型の投資家があまり市場に参加していない中)、前日の米国株市場で中国の米国預託証券(ADR)が大きく上昇したことが材料にあります。
それに加えて、この日に香港市場に上場した画像認識システムの中国AI最大手であり、ソフトバンクグループも株主となっていることで知られているセンスタイム・グループ(00020)が33%高と急騰したことから、IT関連銘柄が全般的に大きく上昇したことが反発の要因となっています。
ただ、中長期の視点でチャートを見ると、50日移動平均線、200日移動平均線はともに下向きで、株価もその下で推移しており、香港ハンセン指数は下落トレンドをまだまだ脱しきれていません。
1月3日の取引では(この日も中国本土市場が正月のために休場であり、売買は低調でしたし、中国恒大集団(03333)が朝方に株式取引を停止したことで市場の雰囲気が悪化したこともありますが)、阿里健康(アリババ・ヘルス・インフォーメイション・テクノロジー)(00241)が前営業日比-5.5%、アリババ・グループ・ホールディング(09988)が前営業日比-3.3%、美団(03690)が-0.9%、テンセント(00700)が-0.7%などIT関連株は全般的に売られています。
2022年も中国本土株は政策期待から堅調な推移が続くも、香港株は軟調な株価推移が続くか
一方、2021年12月下旬以降に発表された中国の経済指標を見てみると、12月の中国国家製造業PMIは50.3と市場予想の50.0や前月実績の50.1を若干ですが上回りました。また、中国国家非製造業PMIは52.7と、こちらも市場予想の52.0や前月実績の52.3を上回っています。中国国家製造業PMIの2021年以降の推移を見てみると、2021年3月の51.9をピークとして、10月の49.2まで下落傾向が続いています。
しかし、11月、12月と続けて回復し景況感の境目である50を上回っています。中国国家非製造業PMIについても3月の56.3がピークとなり、こちらは8月に47.5の底をつけ、その後、反発しているものの、10-12月は52前後の推移が続いています。
しかし、中国国家製造業PMIの推移を見ると、ここにきて中国当局が景気悪化を懸念し、金融政策を緩和的にして、財政政策についても模索している様子も伺えるところです。
2022年の展望としては、上海総合指数は比較的堅調な推移が続いていますが、今後も中国当局の政策期待で同様の株価推移が期待できそうです。IT関連企業がほとんど上場していない中国本土市場は中国当局によるIT企業への管理強化の影響を受けずに中国当局の政策の恩恵を享受できる見通しにあります。
一方で香港市場については中国当局によるIT企業への管理強化の影響を受け続けると見られ、もうしばらくは軟調な株価推移が続く見通しです。
前述の通り、IT企業への管理強化は経済のサイクルとは異なり、中国当局次第ですので、予想がつきにくく、期間的なことやバリエーション、値ごろ感では判断が難しいところです。
そのため、下がっても大丈夫なように丁寧に下がったところを拾っていくか、チャート上で株価が50日移動平均線を上抜けて、出来高を増して上昇していくような、底打ちのサインがでてから購入を検討するというのも1つの方法かと思われます。