クリスマス要因、年末要因

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、先週にかけて売り越しが2週連続で縮小し、約2ヶ月ぶりで7万枚を下回った(図表1参照)。円の売り越しは、11月にかけて10万枚以上に拡大したが、そんなこの間のピークから先週にかけて3割以上の縮小となった。

【図表1】CFTC統計の投機筋の円ポジション (2020年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

このように年末にかけて円のポジションが縮小に向かうのは、基本的なパターンの1つとも言える(図表2参照)。クリスマスで薄商いとなり、突発的なニュースによっては相場急変動のリスクもあることから、そのような万一の乱高下リスクに備えるべく、リスク回避の観点からポジション圧縮に動く影響があったのではないか。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション (2015年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

今週予定されている12月FOMC(米連邦公開市場委員会)は、基本的に「年内最後のビックイベント」と位置付けられている。このため、それを通過した後、クリスマス及び年末前に円売りリスクテークに傾斜したポジションの整理に伴う円買い戻しが広がる可能性は、引き続き要注意ではないか。

これはもちろん、円に限ったことではなく、基軸通貨の米ドルにも基本的には当てはまることだろう。米ドルのポジションは、最近にかけての米金利の上昇、それに伴う米ドル高などにより、基本的に大きく米ドル買いに傾斜している可能性が高い(図表3参照)。

【図表3】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション (2010年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

そんな、米ドル買いに傾斜したリスクテークを正当化したのは、米金利及び米ドルの上昇だった。「米金利上昇=米ドル高」といった流れが、「年内最後のビッグイベント」とされる12月FOMCの後も続くのか否か。一時的でも「続かない」という見通しになった場合は、クリスマスと年末を意識したポジション圧縮に伴う米ドル売りがある程度広がる可能性はあるだろう。