S&P500は2021年に入り66回目の高値更新、ナスダック総合も高値更新

先週のS&P500は0.32%上昇、4,697.96ポイントで終わりました。11月18日(木)には引値ベースで史上最高値を更新しましたが、これは2021年に入って66回目の高値更新です。これまでの記録は1995年の77回ですので、ひょっとすると年末までにこの記録を更新するかもしれません。 ナスダック総合は先週1.24%上昇、11月19日(金)には16,057ポイントを付け、史上最高値を更新しています。

11月19日(金)は月に1回の株式オプションの満期日で、この日は通常より商いが急増し、市場もボラティリティが高まる傾向があります。過去1年で見てみると、同様の週にS&P500が上昇する確率は25%で、平均リターンは−0.31%となっています。また、満期日当日に同指数が上がる確率は18%で、平均下落率は−0.35%と、統計的には 先週は S&P500が上がらない1週間であり、特に金曜日は上がらないはずの日だったのです。

 次の時価総額1兆ドル候補銘柄、エヌビディアの驚くべき決算結果

では、何が起きたのでしょうか。11月18日(木)に発表された半導体メーカーのエヌビディア(NVDA)の決算があまりにも良かったのです。第3四半期の決算を受け、同社の株価は18日(木)に8%上昇し、翌19日(金)も4%上昇しています。

同社の今季の売上は前年同期比で事前予想を4%上回り50%増、粗利益率は予想通りの67%、EPSは予想を6%上回り、前年比61%増という結果となっています。好調なのはデータセンター関連の売上です。世界的にサプライチェーンの停滞が問題となっている中、同社は旺盛な需要に対応できる供給を確保できたことも強みとなりました。

また、最近注目されているメタバースの領域でも同社は実力を発揮することでしょう。同社は現在、長期的な成長ステージの初期段階にいると言えると思います。GAFAM+Tに続く、次の時価総額1兆ドル候補銘柄はエヌビディアであり、そうなるのは時間の問題でしょう。 

GAFAMの影響力の凄さは、どこまで強まるのか 

先週はアップル(AAPL)が、2025年までに完全自動運転EV車を発売するだろうとの憶測記事が出たことを受け、同社株は史上最高値を更新しました。これにより、しばらくマイクロソフト(MSFT)に譲っていた時価総額1位の座を奪還することができました。また、先週はGAFAM銘柄の中で出遅れていたアマゾン(AMZN)も4.3%上昇し、こちらも先週のナスダック総合や、S&P500の上昇に貢献しています。 

GAFAM銘柄はそれだけでも十分、存在感がありますが、最近アマゾンの影響力の強さを改めて考えさせられました。2週間前のことです。米国株市場ではEV車メーカーのリビアン・オートモービル(RIVN)のIPOが話題になりました。同社の現時点での工場での生産可能台数は年間最大15万台と言われていますが、2021年10月現在でまだ150台しか生産していません。しかし、上場後、同社の株価は連日上昇し、上場後3日間で株価は倍以上になり、あっという間に日産、フォード(F)、GM(GM)の時価総額を抜いてしまいました。

もちろん、投資家の同社の将来に対する期待感もあるのでしょうが、株価が急騰したのはそれだけではありません。 実は、同社はアマゾン向けに10万台の配送用EVヴァンを2024年までに10万台納入することになっています。アマゾンはこのリビアン株の20%を保有する株主なのです。つまり、リビアンはアマゾンお墨付きの企業だと言えるでしょう。 

8月末にはフィンテック企業のアファーム(AFRM)がアマゾンとのパートナーシップを発表しました。アファームはBNPL(今買って後で支払う)技術を持ったフィンテック企業です。米国におけるAmazon.comのサイトで50ドル以上の買い物をすると、アファームのBNPL機能を使い、分割で支払いができるようになるのです。このニュースを受け、アファームの株価は1日でなんと4割も上昇しました。

11月17日、アマゾンは英国のサービスで米ビザのクレジットカードの取り扱いを終了すると発表しました。これを受けて、ビザの株価が1日で5%下落したのです。アマゾンが、英国で世界を代表するクレジットカードのビザを使わなくなると発表しただけで、同社の株価が5%下がってしまうのです。 

このような株式市場で起きている出来事を見ているだけで、アマゾンが他の企業に対して持つ影響力の大きさを思い知らされます。たった1つの企業がここまで世界中のあらゆる業界や企業に対し影響力を持つようなことは、これまでなかったのではないでしょうか。

この勢いは決して止まることなく、拡大する一方でしょう。まるでアマゾンが企業の製品やサービスの品質保証をしているかの如くです。株式投資家は、GAFAMのようなグローバル企業の今後の勢力図を理解することで、その銘柄や関連銘柄の長期的なポテンシャルの凄さが見えてくると思います。