アマゾン・ドットコム(AMZN)決算:一株利益は6.12ドルで市場予想を下回る
企業概要
アマゾン・ドットコムは、主要なオンライン小売業者で、収益で最大規模のeコマース企業である。2020年度の売上高は3860億ドル、総取引額(GMV) は推定4820億ドルである。売上高に占める割合は、小売関連が約83%、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウド・コンピューティング、ストレージ、データベース、その他サービスが12%、広告や提携クレジットカード契約サービスが6%となっている。2020年度のAWS以外の売上高では、ドイツ、英国、日本など米国外が27%を占める。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★売上高・・・前年同期比15%増の1108.1億ドル(市場予想は1118.1億ドル)
〇アマゾン・ウェブ・サービス純売上高…前年同期比39%増の161.1億ドル(市場予想は154億ドル)
★1株当たり利益・・・6.12ドル(市場予想は8.96ドル)
第4四半期ガイダンス
★売上高・・・1300-1400億ドル(市場予想は1416.2億ドル)
2021年7-9月期決算は売上高が前年同期比15%増の1108億1200万ドル(約12兆5700億円)、純利益が同50%減の31億5600万ドルだった。新型コロナウイルス禍で急拡大した2020年の反動でインターネット通販事業の伸びが減速したほか、人件費などがかさみ6四半期ぶりの減益となった。
7-9月期の売上高は事前の市場予想(1115億5100万ドル)を下回った。伸び率が20%を下回るのは2019年前半以来だ。直営のネット通販事業の売上高が499億4200万ドルとなり、前年同期比で3%の伸びにとどまった。アマゾンの電子商取引(EC)プラットフォームに出品する外部事業者から受け取る各種の手数料収入は19%増の242億5200万ドルだった。
売上原価の上昇や物流施設にかかる費用の増加が目立った。米国などで拠点の拡張を続けており、アマゾンの従業員数は9月末時点で146万8000人と6月末より13万3000人増えた。一方で労働市場では需給のミスマッチが深刻になり、梱包や配送業務に携わる人の時給を上げている。契約時に払う一時金も含め、採用にかかるコストが上昇した。
クラウド・コンピューティング事業の「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」の売り上げは39%増の161億1000万ドルで堅調な拡大が続いた。プライムを中心とするサブスクリプション(継続課金)型サービスの売上高は24%増の81億4800万ドルと予想を上回ったが、主力事業の減速とコスト増の影響が大きかった。
年末商戦と重なる10-12月期も人件費や供給制約が重しになる見通し。アンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)は声明で「労働力不足や賃金上昇、世界的なサプライチェーンの問題、運賃・輸送費の上昇に対処するため数十億ドルの追加コストが発生する」と指摘した。
10-12月期の会社全体の売上高は1300億-1400億ドルになるとみている。前年同期と比べた伸び率は最大でも12%にとどまり、市場予想の1421億ドルに届かない見通しだ。28日の時間外取引では終値を下回って推移した。
今後の株価見通し
労働市場では需給のミスマッチが深刻になり、梱包や配送業務に携わる人の時給を上げている。契約時に払う一時金も含め、採用にかかるコストが上昇した。当面下値模索の動きとなろう。
イーベイ(EBAY)決算:一株利益は0.9ドルで市場予想を上回る
企業概要
イーベイは、世界最大のeコマース市場の1つを運営しており、2020年の総取引額(GMV)は850億ドルで、世界第5位のeコマース企業となっている。リスティングフィー、広告、サービスプロバイダーとの収益分配の取り決め、およびマネージド・ペイメンツから収益を生み出し、プラットフォームは、約190の世界市場にわたって1億5900万人を超えるバイヤーおよび1900万人のセラーを結びつける。英国、ドイツ、オーストラリアで大きなプレゼンスを有し、国際市場でGMVの約55%(米国では45%)を生み出している。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第3四半期(7月-9月期)実績
★純収入・・・前年同期比10.6%増の25億ドル(市場予想は24.6億ドル)
★1株当たり利益(一部項目を除く)・・・0.90ドル(市場予想は0.89ドル)
第4四半期ガイダンス
★売上高・・・25.7-26.2億ドル(市場予想は26.5億ドル)
★1株当たり利益・・・97セント-1.01ドル(市場予想は99セント)
決算総括
7-9月期決算(第3四半期)決算では、1株利益、売上高とも予想を上回った。続く第4四半期の売上高ガイダンスは予想を下回った。同調整済みEPSガイダンスレンジは予想に一致した。ホリデーシーズンの消費者の行動がパンデミック前に戻り、オンライン消費は減速を示唆する内容となった。
今後の株価見通し
2019年から毎年増配している。世界最大級のオークションサイトを運営するインターネット通信販売業者で、越境ECマーケットプレイスとなっている。アクティビストの進言に基づいて、電子決済サービス会社ペイパルをスピンオフした。また、チケット再販企業スタブハブを売却し、本業特化を推進中だ。
決算発表日の引け後の時間外取引では73ドルレベルで推移している(NY時間午後8時時点)。株価チャートは以下の通り上昇トレンドを維持しており、値固め後再度上値追いをうかがう展開となろう。
アップル(AAPL)決算:一株利益は1.24ドルで市場予想と一致
企業概要
アップルは、スマートフォン(iPhone)、タブレット(iPad)、PC(Mac)、スマートウォッチ(Apple Watch)、AirPods、テレビボックス(Apple TV)など幅広い消費者向け電子機器の設計を手掛ける。製品のうちiPhoneが純売上高全体の大半を占める。また、製品ユーザーにApple Music、iCloud、Apple Care、Apple TV+、Apple Arcade、Apple Card、Apple Payなど多様なサービスを提供している。アップル製品には社内で開発されたソフトウエアや半導体が搭載されており、アップルが、ハードウエア、ソフトウエア、サービスを統合したビジネスモデルを採用していることは広く知られている。製品は、オンラインストアをはじめ、アップルの直営店舗や一般の小売業者を通じて販売されている。純売上高全体のおよそ40%を米州が占め、残りは海外のさまざまな地域で生み出されている。
出所:銘柄スカウター米国株、Morningstar, Inc.
第4四半期(7-9月期)実績
★売上高・・・ 前年同期比29%増の833.6億ドル(市場予想は846.9億ドル)
★1株あたり利益(一部項目を除く)・・・1.24ドル(市場予想は1.24ドル)
2021年7-9月期決算は売上高が前年同期比29%増の833億6000万ドル(約9兆4600億円)、最終利益が62%増の205億5100万ドルだった。売上高と最終利益はそろって7-9月期として過去最高を更新したが半導体不足によって供給面の制約を受け、主力の「iPhone」の売上高は市場予想を下回った。
今後の株価見通し
28日は152.57ドルで引けたが、決算発表を受け、147.10ドル台で推移している(NY時間午後8時時点)。供給制約の影響を受けているが、需要の大きな部分は先延ばしされるため、次の四半期の売上アップになろう。その意味では、この押し目は買いだろう。