関西スーパー、H2O・オーケーによる争奪戦、H2O統合案に対する賛成票は66.68%でぎりぎりの承認

10月29日に関西スーパー(9919)の臨時株主総会が行われました。結果は報道などのとおりH2Oリテイリング(8242)との統合案が承認されました。株主総会の特別決議のため、議決権を行使した株主の議決権のうち2/3以上の賛成が必要となりますが、賛成票は66.68%だったと報道されており、ぎりぎりの承認であったことが分かります。事実、当日も議決権の精査のため、結果発表にかなり時間を要しました。午前10時に始まった総会は質疑が長引いたこともあり、最終的に結果が発表されたのは16時というまさにロングラン総会でした。

臨時株主総会には、個人株主が多数参加したほか、H2O提案に反対していたオーケーの社長も出席していたと報道されています。オーケーは関西スーパーの大株主でもあるので、当然に参加していたようです。総会の模様は「ダイヤモンド・オンライン」で詳しく紹介されていました。

質疑の中では株主から「優良な関西スーパーがなぜボロボロの会社と統合しないといけないのか。正気の沙汰ではない」、「オーケーに良いイメージは持っていなかったが、店に行ってみたら素晴らしいと感じた。ぜひ一緒になってほしい」というような声が出て、拍手が上がったということです。統合に反対するような声が少なくなかったということだと思われます。

また、株主から反対した株主が株式の買取請求を行った場合の買取価格を聞くような声も出ていたとのことです。これは議決に反対した株主には議決が決議された場合、会社に対して保有株式の買取請求を行う権利があり、「その際の買取価格はいくらになるのか」というものです。この買取価格は会社法上、「公正な価格」とされています。H2Oと統合した新関西スーパーの株式の価値は、オーケーの提案した買付価格2,250円より高いとしているので、それ以上の価格が「公正」ではないかというものですが、総会では「総合的に判断して価格を定める」と述べるにとどまったとのことです。

「ダイヤモンド・オンライン」では株主にも取材しており、取引先企業は「関西スーパーは大事な取引先。彼らの意向に反することはしない。投票行動は察してほしい」と回答したとのことです。その他にも賛成ができないなら棄権してほしいと働きかけがあったとのことです。もちろん、オーケー側も取引先にはたらきかけていたようです。ダイヤモンド編集部ではキユーピー・味の素・カゴメ・伊藤ハムといった株主取引先に取材をしていますが、いずれもどのように投票したかは開示しなかったようです。

臨時株主総会後、H2Oの統合案が可決により株価は大きく下落

総会後、オーケー側は公開買付を諦める旨を表明したとのことで、ひとまず、H2O・オーケーの争奪戦はH2Oの勝利で決着がついたことになります。その後の株価はどのように動いたのでしょうか。

10月8日の記事では、関西スーパー株の見通しについて、「可決(H2Oの買収)の場合の株価はオーケーの買収が発覚する前の水準(新関西スーパーを想定していた水準)、否決の場合の株価はオーケーが提示している公開買付価格(2,250円)を意識する動きが想定されます」と解説しました。

H2O・オーケーの関西スーパー買収合戦、注目ポイント・売買判断は?(2021年10月8日)

今回、否決となりましたので、総会開催日の終値1,848円から、本日(11月2日前場の執筆時点)は1,258円と大きく株価は下落しました。H2Oの統合案が報道される前が1,320円だったので、概ねその水準まで売られてしまったということです。H2Oの統合案が明らかになってからの安値は1,326円とほぼ同水準です。オーケーの買収案が報道されてから一時オーケーの提示した2,250円に近い2,213円まで上がっていたことを考えると、H2Oの統合案が可決されたことで関西スーパー株は大きく下落してしまったということになります。高値から見ると40%以上の下落です。やはり、新関西スーパーは現状ではマーケットの評価は得られず想定したような下落に至ったと説明できると思います。

H2Oは直接の買収ではなく、自社グループのスーパーと統合し新関西スーパーを設立する(関西スーパー株主は新関西スーパー株主となる)という形式でした。直接の買付であればオーケー案と比較しやすく、一般的に考えると、オーケー案より安い場合の合理性の説明は難しいように思います。新関西スーパーの株式価値は試算になるので、比較がしにくく、結果的にH2Oは思惑通りに統合に成功したということになるのでしょう。

しかし、関西スーパーの株主としてはなかなか納得できない結果なのではないでしょうか。少なくとも株主総会後だけでも600円近く、30%以上も株価は下落してしまっているのです。これが(議決権を行使した)株主の2/3の同意で可決されたというのはなかなか信じがたいことのように思えますが、いかがでしょうか。詳しい投票結果などは開示されておらず今後も開示されないと思いますが、議論されるべき結果と言えるのではないかと思います。

今後、関西スーパーは上記の反対株主の買取請求を受けるように思います。また、新関西スーパーの経営がH2Oとの統合をよしとした経営計画通りに進むかどうかという点について、株主の目はより厳しくなるのではないでしょうか。