BTCドミナンスチャートは、暗号資産市場におけるBTCの割合を占めるチャートです。暗号資産市場全体を100とした場合、BTCの占める割合を算出したものです。そのチャートで2021年5月と9月に一時、全体の割合が40%を割り込みそうになるほど低迷しました。しかし現在は、少しずつ回復傾向にあります。

前回のコラムで取り上げたビットコインETFの承認への期待も回復の要因の1つではないでしょうか。

【図表1】BTCドミナンスチャート
出所:Trading View

BTCが9月頃をボトムに年末にかけてドミナンスを上昇させた年は、2016年、2017年、2020年です。いずれもBTCをはじめ、暗号資産市場が成長を遂げた年でした。これらの年には、BTCから上昇が始まり、初期段階ではアルトコイン価格がやや低迷していたものの、11月下旬から12月にかけてアルトコインに資金が流入する傾向が見られました。

この1週間も、BTC価格がじわりと上昇するものの、アルトコイン全般はBTCに連動する様子が見られませんでした。ですので、上記の傾向に近いのではないかと、個人的には考えています。しばらくポートフォリオの比率はBTC中心で考えたいところです。

では、本日もチャート分析をしていきましょう。

BTC(ビットコイン)は600万円を回復し、高値圏を維持

【図表2】BTC/JPY 日足
出所: MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

BTC/JPY日足分析から始めます。

レジスタンスラインであった580万円前後のラインを突破し、600万円台を回復しました。ポイントとしては、抵抗線を突破し、さらに600万円も超えて5日以上、高値圏で価格を維持しているところです。

価格上昇中なので、利食いしている投資家もいれば、レバレッジ取引で戻り売りしている投資家もいるでしょう。その売り圧力を飲み込むほど新規の買いがこのレベルから入っている証拠だと個人的には考えます。

大台突破後、ある程度の調整はつきものですが、今回の上昇ではその後の値動きもしっかりしています。この価格帯が維持されているのは、売り物が消化されているからではないでしょうか。今週はさらに高値を更新する可能性があると思います。

浅い押し目を予想した戦略

【図表3】BTC/JPY 4時間足
出所: MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

4時間足に切り下げます。

今週の戦略としては、浅い押し目を予想しつつ、トレンドラインから入っていくと良いと思います。

MACDはダイバージェンスしていますが、ダイバージェンスを開始してしばらく時間が経過しています。つまり、アク抜け感も出始めていると考えます。横ばいの値動きが続けば続くほど、このMACDのダイバージェンスはテクニカル的に機能しにくくなりますので、なお買いやすいと考えられます。

トレンドラインタッチあたりから、拾っていく戦略も1つの選択肢かと思います。600-610万円といった浅い押しから入っていくイメージです。

もう1つは、日足チャートに引いたサポートラインです。580万円手前からの買い指値注文のエントリーも考えられるでしょう。581-585万円ゾーンで拾っていく認識です。個人的には、今週のトレードはこの2つのポイントに絞っていく予定です。

勢い劣るETH(イーサリアム)、今週は見送りか

【図表4】ETH/JPY 日足
出所: MONEX TRADER CRYPTO(iPhoneアプリ)

ETH/JPY日足分析に移ります。

形状的には安値を切り上げているので、悪くはありません。しかし、前回高値のレジスタンスラインを少し超えて反落していますし、BTC日足チャートと比較しても、明らかに見劣りします。上値を抜けきれないということは、やはり上昇にそこまでインパクトがないということでしょう。

アルトコイン最大の時価総額のETHですら、このような値動きですから、他のアルトコインはさらに勢いがありません。海外取引所も含め、アルトコイン市場では横ばいの値動きのコインが大半を占めています。

冒頭でお伝えした通り、BTCドミナンスチャートで上昇傾向が見られることから、BTCに資本が回帰しているように思います。よって、10月の相場はBTCに資本が集中するのではないかと考えます。

既に保有しているETHポジションはキープしつつも、積極的に追加を入れてトレードしていくイメージは持っていません。前述通り、BTC中心のトレードを意識したいと思います。

ただ、2020年にはETHも11月頃からBTC同様に大きく価格が上昇し、年明けに他のアルトコインもその値動きを追随するかたちとなりました。2021年もBTCが大きく上昇していれば、それに追随する可能性も出てくるでしょう。

今週はBTCロング戦略のみ、ETHはポジションをキープしつつ少し様子見、といったところでしょうか。以上をご参考にしていただけると幸いです。