NYダウ平均は5日続落

週明け9月13日の日経平均は続伸しました。上げ幅は限定的でしたが、10日連続で陽線を続けました。14日も陽線が続けば、1999年8月以来の「十一陽連」となります。なお、「十一陽連」はバブル崩壊以降で連続最長記録となり、過去でも1999年8月の1回だけの記録です。

一方、先週末のNYダウ平均は5日続落。最近、キャタピラーを中心とした資本財セクターの弱さが気になっていたのは確かです。ただ、NYダウ平均は5日続落ながらも、米主要指数は高値圏推移で、特段大きな変化はみられません。 

当面の留意点となるのは、ダウ輸送株指数の動きです。ダウ輸送株指数とはNY証券取引所やナスダックに上場している鉄道、トラック、物流、航空などの輸送関連20銘柄の単純平均で求められます。

景気敏感指数であるため、景気拡大時にはNYダウ平均よりも先行して上昇、景気後退時にはNYダウ平均よりも先行して下落すると言われます。

近年は、「米GDPに占める製造業の比率が低下し、サービス業への依存度が相当に高く、もはやダウ輸送株指数に先行性はない」といった議論もありますが、概ね長期のトレンドは同じなのです。

ただし、トレンドの転換時にはダウ輸送株指数が先行性をみせることが多く、ダウ輸送株指数が先に高値をつけた後、NYダウ平均が高値をつけ調整が始まる場面はよくみられます。そのタイムラグはまちまちです。

5月以降のダウ輸送株指数に注目

そこで、両者の5月以降の動きに注目です。ダウ輸送株指数は5月中旬に高値をつけて以降、下落局面(調整局面)が続いています。NYダウ平均とは完全に逆方向です。

素直に考えると、今後、ダウ輸送株指数の弱さに影響され、NYダウ平均が調整局面に入る。あるいはダウ輸送株指数の上昇が再開し、NYダウ平均を一段高に引っ張るかどうか。

そのあたりは不明瞭ですが、いずれにしても両者のトレンドはどちらかに収斂(しゅうれん)することが予想され、この両者の乖離は今のNY市場の中では気づきの留意点となります。
ただ、2017年以降、ダウ輸送株指数が先行して調整し、のらりくらりしながらも、結局はNYダウ平均を引っ張ってきました。今回も期待できるかもしれません。

両者の乖離が米国市場全体の高値形成を示唆するものであればリスクですが、ダウ輸送株指数の上昇が再開する場合、米輸送関連銘柄に加え、日本の輸送株にも妙味が出てくるかもしれません。

国内市場では業種別でいくと、「空運」・「倉庫運輸」・「陸運」に分類される銘柄が主に対象になりそうです。この中では、年初からTOPIXに割り負けている「陸運」に焦点を絞っても面白いと思います。

そこで、東証1部の「陸運」に分類される44銘柄の中から、銘柄スクリーニングで絞り込みました。条件は、時価総額500億円以上で、今期減収や信用倍率10倍以上を除き、上向きの52週移動平均線を株価が上回っていることとしました。

細かい変動はあるかもしれませんが、出てきたのが以下の銘柄です。京成電鉄(9009)、西武ホールディングス(9024)、ハマキョウレックス(9037)、日本通運(9062)、丸全昭和運輸(9068)、ニッコンホールディングス(9072)、SGホールディングス(9143)となります。

 

※こちらのコラムは、2021年9月13日の引け後に執筆しています。