トヨタ株が急落

トヨタ自動車(7203)が8月19日に急落しました。ご案内の通り、9月の世界生産を計画比で4割減らすとの報道がネガティブサプライズとなりました。

円安に振れても上がる気配がなく、おかしい、とは思っていたのですが、今回の報道で納得しました。上値を抑えていたのは減産材料だったのです。

そもそも、自動車関連株に強気になれなかったのは、デンソー(6902)のチャート分析からでした。直近発表されたデンソーの決算は好感されましたが、株価は6月時点で2015年高値を起点として延長した右肩上がりの長期傾向線まで、すでに上昇していたのです。

当然、上抜けていく可能性もあったわけですが、新型コロナショック直後につけた2020年3月安値からの大きな上昇幅を考えると、これ以上は伸びていけない。短期的には6,500~6,600円程度までは調整を入れても不思議ではなかったわけです。

そこで、トヨタ自動車の減産材料が出てきました。トヨタ株の今回の急落は12ヶ月移動平均線からの乖離率からも説明できます。過去に高値を付けてきた30%乖離に6月には到達していました。

新型コロナショック前の高値(8,026円)から2020年3月安値(5,771円)までの下落幅に対する倍返し10,280円(実際の高値は10,330円)付近に達していたことも、次は下げるリズムだったと言えます。

短期、長期目線での今後の見通し

短期目線では、7月9日につけた安値9,472円を下回り、8月高値が6月高値よりも低くなる典型的なダブルトップを形成しました。目先的にはリバウンドが予想されますが、上述した7月安値水準(ネックライン)からは上値が重くなることが予想されます。

ダブルトップ形成後の下値の観測値としては、V計算値で8,800円前後、E計算値で8,600円前後が挙げられます。また、トヨタ株は過去の長いスパンでみると、調整局面では高値から1,550~1,750円程度は下げるクセがあります。

直近高値(10,330円)から1,750円下げた水準が8,580円、1,550円下げた水準が8,780円であることからも、概ね8,600~8,800円処が押し目の落ち着きどころとなりそうです。