東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は5日ぶりに反発となりました。日経平均は6円安の27,418円で寄り付くと9時20分過ぎに76円安の27,347円まで下落しましたが、下げ渋ると買いが優勢となり前引け間際に167円高の27,591円まで上昇し155円高の27,579円で前場を終えました。さらに上げ幅を広げ228円高の27,652円でスタートした後場の日経平均は直後に247円高の27,671円まで上昇した後上げ幅を縮めると結局161円高の27,585円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となり、東証マザーズ指数は2.9%高となっています。

2.個別銘柄等

富士フイルムホールディングス(4901)が3.3%高となり昨日に続いて上場来高値を更新しました。厚生労働省が新型コロナウイルスワクチンの国内生産体制を整備するため新興ワクチンメーカーのVLPセラピューティクスの日本法人に143億円の補助金を支給すると発表したことで新型コロナウイルスワクチンの製造受託契約をVLPセラピューティクスジャパンと締結している富士フイルムホールディングスに買いが向かいました。スポーツ用品大手のヒマラヤ(7514)も2021年8月期の1株当たりの期末配当を従来予想から5円積み増し15円にすると発表したことで一時15.7%高となり年初来高値を更新しています。

また、ジャスダック市場では緊急事態宣言の対象地域拡大や期間延長を受けて宅配需要が増えるとの見方から出前館(2484)が5.0%高となったほか、マザーズ市場では国内大手証券が投資判断と目標株価を引き上げたことでライフネット生命保険(7157)が8.3%高となっています。

一方でディスカウントのドン・キホーテなどを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532)が6.0%安となり年初来安値を更新しました。2021年6月期の決算を発表し2022年6月期の営業利益が前期比4.5%増の850億円になるとの見通しを発表しましたが市場予想に届かなかったことで大幅安となりました。オービックビジネスコンサルタント(4733)も3.6%安となり年初来安値を更新しました。東証が2022年春に新設するプライム市場への移行を目指し流通株式比率を引き上げるため和田成史社長ら株主6人がオービックビジネスコンサルタント株を売り出すと発表したことで需給悪化懸念から大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は161円高となりました。昨日の米国市場が下落となったこともあって朝方は売りが優勢となる場面もありましたが、押し目買いが入り下げ渋ると買いが優勢となりました。しかし、一時は250円近く上昇しましたが、昨日までの4日間で650円近く下げたことによる自律反発にとどまったことから引けにかけて上げ幅を縮めました。そのため引き続き上値の重さが意識されそうで、こうしたなかで節目の27,500円を明日以降も維持できるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の19日午前3時には7月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表されますが、FOMCでテーパリング(量的緩和の縮小)についてどのような議論が行われたかを確認するために注目を集めそうです。また、18日の米国ではエヌビディア(NVDA)やシスコシステムズ(CSCO)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)