東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日ぶりに反発しました。57円安の27,526円で寄り付いた日経平均は直後にプラスに転じ9時40分前に157円高の27,741円まで上昇した後10時50分過ぎに44円高の27,628円まで上げ幅を縮めましたが、前引けにかけて持ち直すと94円高の27,678円で前場を終えました。

さらに戻し104円高の27,688円でスタートした後場の日経平均は大引け間際に146円高の27,730円まで上昇すると結局144円高の27,728円で取引を終えています。一方で新興市場は軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

楽天グループ(4755)が8.4%高となりました。自社で開発した5Gの低コスト通信技術の設計・運用を受注総額2500億円超でドイツの新興通信会社から請け負うと伝わったことが材料視されました。テルモ(4543)も5.1%高となりました。第1四半期の決算を発表し新型コロナウイルスの感染拡大で延期されていた治療が再開し心臓や脳の血管の治療に使うカテーテルなどが伸びることなどから通期の営業利益の見通しを1070億円から1200億円に上方修正し最高益を更新する見込みとなったことで大幅高となりました。

前引け後に第1四半期の決算を発表した川崎重工業(7012)も一時5.5%高となりました。為替レートを円安方向に見直したことに加え、二輪車などを手掛けるモーターサイクル&エンジン事業の北米における販売増が寄与することなどから通期の営業利益の見通しを300億円から400億円に引き上げたことで後場に一段高となる場面がありました。

また、第1四半期の営業利益が洗顔料や美容液の新製品を中心に化粧品が伸び採算性が改善したことなどから前年同期比で23.1%増となったファンケル(4921)が7.3%高となったほか、新型コロナウイルス下での高機能マスクの販売が好調だったことなどから上期のコア営業利益が前年同期比で11.7%増となったユニ・チャーム(8113)も8.9%高となっています。一方でリコー(7752)が急落し11.5%安となりました。新型コロナの影響で落ち込んでいた事務機の販売が回復し前年同期に赤字だった第1四半期の営業損益が黒字に転換したものの市場予想に届かなかったことで売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は144円高となりました。昨日の米国市場でダウ平均が反落となったことから売りが先行しましたが、寄り付きを安値に節目の27,500円を割ることなく底堅さをみせたことでプラスに転じ上げ幅を三桁に広げました。明日は米雇用統計の発表を控え様子見になりやすいといえますが、こうしたなかで売りが優勢となった場合にも引き続き27,500円を維持できるかがポイントとなりそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後にはスズキ(7269)やオリンパス(7733)、任天堂(7974)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や6月の米貿易収支が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)