米ドル/円 日足

週間予想レンジ:108.60~110.60

メインストラテジー:レンジ取引

・米ドル全面高のため調整継続
・保ち合いでも目先は弱含み
・メインの強気構造は維持

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週続落したものの、値幅限定であり、また週足では「十字線」を形成したため、なお保ち合いの一環と位置付けられる。もっとも、先々週大幅反落し、先週の値幅限定で再度「インサイド」のサインを形成しているため、これからのブレイクが注目される。

以前述べたように、先々週の反落をもって米ドル高一服となった。またスピード調整の先行を示唆していたため、先週はその延長戦にあり、基本的な見方も維持されている。米長期金利の下落もあって、米ドル買いの一服自体は我々の想定通りであり、米ドル全面高ゆえに米ドル/円の頭が一旦重くなることも想定内だったため、当面レンジ変動に留まると推測される。

一方、先々週の下落で年初来の安値を起点とした支持ラインの割り込みが確認され、また先週の続落で早期高値の再打診の可能性がさらに後退したため、当面は中段保ち合いを先行させ、また変動レンジの拡大もあり得る。7月8日の値幅拡大、また同日高値110.71円以上の回復なしではさらなる反落余地の拡大につながり、108円台半ばのトライも想定されるだろう、という先週の見方の通り、目先はなお弱含みの展開になりやすいとみている。

先週の値動きも基本的に7月8日罫線の値幅に「包まれる」形で「インサイド」のサインを再度強化し、これから早期の上放れなしでは下放れの蓋然性をさらに高める。従って、109円関門の割り込みがあっても想定の範囲内であり、108円台半ばのトライがあっても深押しの範疇には入らない。言い換えれば、調整波の進行が確認された以上、レンジ変動があるとはいえ、下限の下方修正を想定しておきたい。

もっとも、年初来の高値更新自体が我々のシナリオ通りであり、年初来の高値更新をもって111.71~112.20円といった高値を一気にトライしてもおかしくなかったが、先々週指摘した通り、一気に上値ターゲットゾーンの打診やブレイクが見られない場合、かえって高値トライ後の頭の重さが警戒され、2020年高値に対する本格的なブレイクが先延ばしになる可能性もあったため、先々週の反落や先週の軟調をシナリオ通りの展開とみている。

以前から述べているように大きな背景として米ドル全面高の流れが強まってきた点に一番注意しておきたい。米ドル指数は総じて上昇波としての構造を維持しており、6月の米消費者物価指数(CPI)の急上昇もあって、これから高値更新しやすい環境にあるだろう。米ドル全面高でユーロなど外貨の反落が継続されるなら、ユーロ/円などクロス円における外貨安につられる形で円高の進行がみられるはずなので、逆に米ドル/円に波及し、米ドル全面高だからこそ米ドル/円の頭が重い、といった流れがこれからさらに鮮明化してくる可能性がある。

なにしろ、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に米ドル全面高の局面へシフトし、米ドル指数の急騰で外貨安が急速に行われ、主要クロス円における頭打ちが鮮明になってきた。先週の米ドル指数の続伸もあって、4月高値の再更新が規定路線にみえる。そのため、米ドル全面高の一段加速があれば、米ドル/円への波及効果もむしろこれからであり、引き続き頭の重い状況が続き、また一時的にせよ、レンジにおける下限打診を覚悟しておきたい。

とは言え、強気構造の維持自体は問題ない。メイン支持ラインの一旦割り込みは、上昇モメンタムの低下を維持するものの、強気構造の修正には至らない。繰り返し指摘してきたように、米ドル/円のメイン構造に変わりがなく、モメンタムのさらなる低下があってもブル構造自体は変わらない。米ドル全面高の中、米ドル対円のリードが見られなくても強気の基調修正はあり得ないだろう。

肝心なことは、やはり円の位置付けが変わらないところである。円は主要外貨のうち最弱であり、4月から米ドル全体が大きく反落、また一旦2月安値を割り込んでいたにも関わらず、米ドル対円は強気変動を維持していた。主要クロス円の軒並み高値更新もあって、円の地盤沈下が目立つことから、ここからスピード調整の継続があっても、円全体のベアトレンドは安易に修正されない。主要クロス円におけるスピード調整があって、これから一段と深められる可能性が大きいものの、あくまで調整的、また受動的な値動きで、本格的な円高への逆戻りには程遠いはずだ。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:78.00~81.00

メインストラテジー:戻り売り

・「底割れ」で一段と下値にトライ
・豪ドル/米ドル次第の反落加速
・80円心理大台の割り込みを覚悟

【図表2】豪ドル/円(日足)
筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続落、目先の安値更新に繋がっている。繰り返し述べているように、7月8日の値幅が大きく、その後の値動きは、同日罫線と「インサイド」のサインを形成しているため、下放れがあれば一段と下値余地を拡大することから、目先の安値最更新は、レンジ変動の下方修正を示唆しており、80円心理大台を割り切むことを有力視している。

直近の値動きとして、7月6日の大陰線が重要である。同日豪州中銀の会合で緩和縮小を決定したが、ザラ場にて一旦84.22円をトライしたものの、その後大きく反落、さらなる安値トライ、また82円関門以下の大引けをもって頭打ちの構造を決定した。その後に続く7月8日の大陰線、またその後形成された「インサイド」や目先の下放れは、下値トライの強さを示したため、安易に底打ちになることは想定しにくい。

繰り返し述べているが、6月第3週の反落は、市況を一変させたところが大きかった。すでに3月末安値の82.28円の打診もあって、当面の頭打ちや、豪ドル/米ドル次第で、調整幅の拡大が見込まれ、また調整波の先行でしばらく高値再打診の可能性を後退させたため、その後の戻りはむしろ戻り売りの好機と見なしたのも正解であり、その後の下落はむしろ想定通りの展開になった。

なにしろ、6月24日安値の83.96円を一旦割り込んだことが重要なサインだった。その後一気に3月24日安値の打診をもって頭打ちのサインを成立させた。5月10日の高値再更新が「フォールス・ブレイクアウト」のサインだったことを証明しており、同サインの効き目がこれからも続くはずだ。またすでに効いている以上、効果の長続きも推測されることから、目先の安値トライがあってもなお途中段階だとみている。

3月18日の高値打診は、2月25日高値を一旦更新した後3月24日の安値トライに繋がったため、「ダマシ」の可能性を一旦示唆していた。しかし、2月26日安値の81.99円を割れずにその後の高値トライに繋がったため、本来は一段と上値トライをもたらすはずだった。言ってみれば、「ダマシ」のサインの構築自体が、大型化され、また時間をかけて高値圏で変動レンジの形成や下放れが確認されていた分、これからの調整幅の拡大が現実味を増すが、目先でみられる下落モメンタムの加速はむしろ当然の成り行きともいえる。

82円関門以下の安値打診があれば、変動レンジの下放れを示し、前期の「フォールス・ブレイクアウト」のサインの効き目で変動レンジの「倍返し」的な下方シフトが想定されるだろう。この場合、79円台半ばの下値余地が計算されるため、目先の下落モメンタムに鑑み、79円関門を割り込み、さらに78円台のトライがあっても想定範囲内の値動きになると思われる。

豪州中銀会合後の反転や下落幅の拡大は当面の弱気基調を決定付け、7月8日大陰線を母線とした「インサイド」の下放れもあって、今週「戻り待ちに大した戻りなし」の局面が引き続き警戒される。7月6日のような一時の高値トライは、これから再現されにくく、一直線の下値打診があってもおかしくないだろう。

一方、10月末の安値を起点とした今回の上昇波は、フィボナッチの38.2%押しは81円関門前後、また同半分押しは79円台半ばに位置するため、豪ドル/米ドル次第ではあるが、一旦支持ゾーンとして意識される可能性もある。しかし、豪ドル/米ドルにしても、豪ドル/円にしても、構造上の頭打ちまた反落の特徴が鮮明なので、安易な底打ちは難しいと思われる。変動レンジの下方修正という、むしろ客観的な見方が有力だと思う。

より長いスパンでは、2020年コロナショック後の安値から豪ドル/円の大型V字型回復や上昇波への復帰が確認され、また2018年5月以来の高値トライが観察された以上、メイン変動としての強気トレンドは維持される公算が大きい。2020年9月、10月のように、連続2ヶ月の調整があってもおかしくないが、ブル構造を否定するにはかなり反落し続けなければならず、目先のハードルは高いとみている。本質的な見方として、調整波の先行や延長があっても、本格的な円高トレンドへ逆戻りすることはあり得ないだろう。あくまで受動的な円高であることを再認識しておきたいが、目先として安易な逆張りもできない。