東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に3日続落となりました。日経平均は83円高の28,896円で寄り付くと取引開始から5分余りで186円高の28,998円まで上昇しましたが、節目の29,000円を前に上値が押さえられると上げ幅を縮めました。11時過ぎにマイナスに転じた日経平均は11時10分前に32円安の28,779円まで下落しましたが、下げ渋ると持ち直し2円高の28,815円で前場を終えました。

1円高の28,813円でスタートした後場の日経平均は昨日終値を挟んで小幅に揉み合うと結局21円安の28,791円で取引を終えています。一方で新興市場は堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

ウシオ電機(6925)が13.4%高と急伸し年初来高値を付けました。各国での新型コロナウイルスのワクチン接種等が進んでいることにより映画館の営業制限解除が想定以上に進みシネマ用ランプの販売が増加する見通しとなったことなどから通期の営業利益の見通しを50億円から90億円に上方修正したことで買いを集めました。中外製薬(4519)も一時7.9%高となりました。臨床試験(治験)中の新型コロナウイルス向け治療薬候補について、厚生労働省に製造販売承認を申請したと発表したことが材料視されました。

一方でJ.フロント リテイリング(3086)が3.6%安となりました。第1四半期決算を発表し個人消費の回復の鈍さを背景に百貨店などの販売が当初想定を下回ることなどから通期の事業利益の予想を185億円から120億円に引き下げたことが嫌気されました。スギホールディング(7649)も8.4%安となりました。前年に新型コロナウイルスの流行でマスクや消毒薬といった衛生用品などの販売が急激に膨らんだ反動が出たことで第1四半期の営業利益が前年同期比で20%近い減益となったことで売りがかさみました。ホームセンター大手のDCMホールディングス(3050)も一時3.3%安となりました。新型コロナウイルスの影響で前年に需要が急拡大したハンドソープなど衛生商品で反動減が出たことなどから第1四半期の営業利益が前年同期比で10%を超す減益となったことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は21円安となりました。昨日の米国市場が小幅に上昇しS&P500株価指数とナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことで買いが先行しましたが、朝方の買い一巡後に上げ幅を縮めると一進一退の展開となり小幅に下落して取引を終えました。結局、月末の株安というアノマリーを今月も止めることができず10カ月連続で月末株安となってしまいました。また、節目の29,000円を前に伸び悩んだこともあって上値の重さが強く意識されそうですが、そうしたなかで本日引けで上回ることができなかった一目均衡表の雲の上限(28,935円)を抜けて節目の29,000円を回復することができるかがポイントとなりそうです。

なお、小売り企業を中心とした2月決算企業の第1四半期決算発表が徐々に本格化していますが、本日も引け後にニトリホールディングス(9843)やアダストリア(2685)などが決算を発表しました。また、日本時間の21時15分にADP全米雇用リポートが発表されるほか、22時45分には6月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)が発表される予定です。さらに明日は寄り付き前の8時50分に日銀短観が発表される予定で注目されます。

( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之 )