東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に反落となりました。2円高の28,886円とほぼ横ばいで寄り付いた日経平均は米国株高を受けて取引開始から15分余りで123円高の29,007円まで上昇しましたが、節目の29,000円をわずかに上回ったところで上値が押さえられると上げ幅を縮めマイナスに転じ10時40分過ぎに24円安の28,860円まで下落しました。しかし、下げ渋ると持ち直し前場は32円高の28,916円で取引を終えました。21円高の28,905円でスタートした後場の日経平均は12時40分過ぎに34円高の28,918円まで上昇しましたが、上値が伸び悩むと上げ幅を縮め結局9円安の28,874円で取引を終えています。一方で新興市場は堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

ニトリホールディングス(9843)が5.3%高となりました。新型コロナウイルス感染拡大により巣ごもり消費が堅調で家具や家電が売れたことから2021年3-5月期の営業利益が前年同期比13%増の420億円程度になり第1四半期として過去最高を更新したとの観測報道を受けて買いを集めました。島津製作所(7701)も一時2.9%高となりました。アルツハイマー病の原因物質とされるたんぱく質を血液数滴から検出する分析装置を世界で初めて発売したことが材料視されました。三協立山(5932)も11.7%高と急伸し年初来高値を更新しました。国内で建築市場の回復が想定を上回ったうえ、自動車や機械向けのアルミニウム形材の需要が拡大したことなどから2021年5月期の営業利益の見通しを25億円から45億円に上方修正したことが好感されました。アルミコンデンサー大手の日本ケミコン(6997)も6.2%高となり年初来高値を更新しました。日本ケミコンとブリヂストン(5108)の子会社が次世代電池とされる全固体電池の電極に使う導電材料を2023年にも量産すると伝わったことが材料視されました。

一方でツルハホールディングス(3391)が6.0%安となりました。昨日の引け後に2021年5月期の決算を発表し2022年5月期の営業利益が512億円になるとの見通しを公表しましたが市場予想に届かなかったことで失望売りに押されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は9円安となりました。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言での発言を受けて早期の利上げ観測が後退し昨日の米国市場が続伸となりナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したこともあって買いが先行し、一時は上げ幅を三桁に広げ節目の29,000円を回復する場面もありました。しかし、29,000円をわずかに上回ったところで伸び悩むと上げ幅を縮めマイナスとなりました。そのため29,000円を超えたところでの上値の重さが改めて意識されそうで、引き続き29,000円を超えて水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の22時45分には6月の米PMI速報値が発表されるほか、23時には5月の米新築住宅販売件数の発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)