前回のコラムでは株価がサポートラインを割り込んだことから、「株価が戻せないときは、ファンダメンタルズに変化がなくても株価下落の可能性が高まっていることを意味しますので、損失の発生や拡大に注意したいところです」と説明しましたが、結果はどうなったのでしょうか。
みなさん既にお分かりだと思いますが、予想される今後の展開も含めて解説したいと思います。
下放れとその後の値動きの確認
まずは下放れた後の状況を確認してみましょう。前述のように窓をあけて下落した後、コモンギャップ(=普通の窓)と想定したことや、4月21日の安値と3月24日の安値を下回っていなかったこともあって反発への期待がありました。
また、翌営業日の5月12日は小幅に反発して始まり、下げ止まるかに思われましたが、下向きの5日移動平均線に押し返されると、これらのサポートとなる株価水準を一気に下回りました。さらに、下落の3日目となる5月13日には27,385円をつけ、この間2,070円も下げる結果となりました。
このように、もち合いを下放れた後に株価が戻せないときは下落幅が大きくなるという、テクニカル分析におけるセオリーが今回も当てはまったことになり、ファンダメンタルズでは説明ができない値動きを予測するための重要な分析手法ということがお分かりいただけたのではないかと思われます。
窓埋めと予想される今後の動向について
そのような中、先週の大幅な下落で埋まった窓があります。それは1月7日と8日の間にあけた窓です。
この窓は2021年に入ってから3万円に乗せるスタート地点となった窓で、この時、1月6日と7日の間にも窓をあけており、そのうちの1つを先週の下落で埋めたことになります。
一方で、先週の下落から5月18日までに株価が反発しており、5日移動平均線も上回って終えているのが分かります。
そのため、株価の反発やその継続が期待されるところとなっていますが、ここでもう1つ注目しておかなければならないテクニカル的なポイントがあります。
それは、これまでサポートとして機能していた3月24日の終値や4月21日の終値の水準が上値の抵抗になる可能性があるということです。
5月18日には終値でこの水準まで戻していますが、この水準を上回ることができるかどうか、が今後の動向を探るカギを握っていると言えるのです。
仮にこの水準を上回って維持するようですと、下向きの25日移動平均線を上回り、29,000円台を回復したり、3万円台に乗せたりすることが考えられます。その反面、この水準を上回ることができずに押し返されるようですと、1月6日と7日にあけた窓を埋めたり、さらに下の株価水準に位置している窓も埋めたりすることが考えられるのではないかと思われます。
そのため、この水準を上回ることができずに再び5日移動平均線を割り込んだときは、さらなる窓埋めに注意が必要になると思われますので、買いポジションを持っている投資家は損失の発生や拡大に注意したいところです。