2021年末のS&P500のターゲットを上方修正、その根拠とは?

米国の株式市場を代表するS&P500株価指数は史上最高値を更新し続けてきました。私が当初お伝えしていた2021年末のS&P500のターゲットは4,150ポイントでした。そのターゲットは4月にあっさりと抜かれてしまいましたが、ここで米国株がピークをつけるとは思っていません。どうもマーケットは私が思っている以上に上昇したがっているようなので、2021年年末のS&P500のターゲットを4,300ポイントへ上方修正します。

4,300ポイントの根拠は、2022年のS&P500の市場のコンセンサス予想EPS206ドル、PER21倍くらいがS&P500のフェアバリューだと考えたからです。S&P500の5月14日の終値は4,173ポイントですから、4,300ポイントまでは後3%の潜在的上昇率です。

もし、この予想にリスクがあるとすれば、それはこの予想が控えめであることです。そして、4,300ポイントに予想より早く達成してしまうことでしょうか。

経済活動が順調に平常に戻りつつある米国

バイデン米大統領は、7月4日までに米国の成人7割が少なくとも1回新型コロナワクチン接種を済ませると発言しています。7月4日は米国の独立記念日です。新型コロナウイルスから「独立」したいという気持ちもあるのでしょう。

また、バイデン米大統領が発表したインフラ投資法案について、ナンシー・ペロシ民主党下院議長が2021年8月までには成立させたいと言っています。2.3兆ドル規模のこの法案の提案については、共和党の理解を得るべく、このままの金額では成立はしないであろうものの、米国はこの法案の成立と実施を必要としていると思います。ですので、私は修正された法案が成立するものと考えています。

マーケットは、法案成立に向けての様々なニュースの見出しに一喜一憂することでしょう。ただ、基本的には上昇トレンドが継続し、成立されたことを確認すると、マーケットは「sell on the news」(ニュースで売り)の展開となるのではないかと思います。

過去の歴史を振り返ってみても、9月、10月は米国株が弱い時期ですし、2021年も例外ではないように思います。その調整後、11月、12月は年末のイヤー・エンド・ラリーとなり、S&P500は年末に高い水準で終わるのではないでしょうか。

市場の上昇をサポートする企業業績、次の焦点は第2四半期の決算発表

米国企業の第1四半期の決算発表がほぼ終わりました。先週末のデータを見ますと、前年同期比でほぼ51%の増益となりました。次に第2四半期決算発表が本格化するのは7月半ばです。現時点での収益予想は前年同期比で58%の予想となっています。

これまで米国株が上昇してきた理由は、このような企業業績の改善を織り込んでのことです。まだまだ企業業績は完全に回復し終わっておらず、今後も上昇の余地があるということが、株価もさらに上昇するだろうとみている理由です。
 
もちろん年末までには、様々なネガティブなニュースも出てくるでしょう。例えば、インフレ期待の浮上、金利の上昇や米中関係に関するネガティブなニュースなどです。ただ、これらについては、今までもそうであったように、一時的にマーケットを下げることにはなるでしょうが、米国株の長期的なブルマーケットを脱線させるようなことはないと考えています。