東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に反落となりました。日経平均は54円安の29,675円で寄り付くと下げ幅を広げ取引開始から40分余りで214円安の29,516円まで下落しましたが、節目の29,500円を割ることなく踏み止まると切り返し110円安の29,620円で前場を終えました。118円安でスタートした後場の日経平均は12時40分過ぎに148円安の29,582円まで下落しましたが、持ち直し14時50分過ぎにプラスに転じると14円高の29,744円を付けました。しかし、プラス圏では上値が重く直ぐにマイナスになると結局21円安の29,708円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

日立金属(5486)が4.9%高となり年初来高値を更新しました。日立(6501)が日立金属を米投資ファンドのベインキャピタルと国内系ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などの日米ファンド連合に売却する方針を固め売却額が8000億円を超える見通しと伝わったことで買いを集めました。メニコン(7780)も4.8%高となりました。米ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)と近視の進行抑制を目的とするコンタクトレンズ事業でグローバルに業務提携すると発表したことが材料視されました。また、投資判断と目標株価の変更に大きく反応したのがカネカ(4118)と東レ(3402)で、カネカは投資判断と目標株価の引き上げを受けて4.3%高となりました。一方で東レは投資判断と目標株価の引き下げを受けて2.7%安となっています。

ウエルシアホールディングス(3141)も6.1%安となりました。2021年2月期の営業利益は前期比で13%を超す増益となりましたが、第4四半期3カ月間の営業利益が前年同期比で24%余りの減益に転じたことが嫌気されました。ユーグレナ(2931)も8.8%安となりました。海外投資家向けの公募増資で最大129億円を調達すると発表したことで売りがかさみました。さらに東京都が「まん延防止等重点措置」の検討に入ったと伝わったことで空運株が安く、日本航空(9201)が3.3%安、ANAホールディングス(9202)が2.8%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は21円安となりました。昨日の米国市場が小幅に高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しいこともあって売りが優勢となりました。下げ幅を広げ一時は210円を超える下落となりましたが、節目の29,500円を前に下げ渋ると持ち直しました。昨日も一時170円以上下げる場面もありましたが29,500円を前に切り返すと小幅に上昇して取引を終えています。月曜日に30,000円の大台を回復した以降上値の重い展開が目立ちますが、その一方で節目での底堅さは維持しているようです。

なお、小売り企業の決算発表が本格化していますが、本日も引け後にローソン(2651)やセブン&アイ・ホールディングス (3382)などが本決算を発表するほか、ファーストリテイリング(9983)が上期決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)