上昇、下落が右往左往するノートレンド状態

3月29日以降の週の中国株は上海総合指数が+1.9%と続伸、香港ハンセン指数も+2.1%と反発となりました。

米国株の特にグロース株が上昇したことや、1-2月の工業企業利益など中国の経済指標が強かったことなどが株価の材料となりました。香港でもITハイテク株の株価が反発してきています。ちなみに、香港市場はイースター(復活祭)や清明節に伴う祝日で4月2~6日は休場となります。

3月下旬から4月初めまでの香港ハンセン指数の全体的な流れを見てみると、3月25日までは調整が続いていたのですが、3月26日に大きく反発してその後も上昇。3月31日には一旦調整したものの連休直前の4月1日に大きく切り返し、高値で引けました。そして久々に売買代金を増加させて上昇しているところから見ても株価のトレンドは上昇基調に転じた可能性があります。

もっとも、2021年2月終盤以降の香港市場は方向感がなく、トレンドがはっきりしていません。上昇トレンドと下落トレンドの転換を短いスパンで繰り返しています。

香港ハンセン指数は以前にもこのような持ち合い相場が長く続いた時期がありました。上昇トレンド、下落トレンドともに長く続かず、右往左往する形ですが、あえて言えば、そのような相場状態自体が相場トレンドと言えるものです。2020年9月下旬からの大きな上昇トレンド(2020年9月25日の安値23,124.25ポイントから2021年2月18日の高値31,183.36ポイントまで34.9%の上昇)は本格的な上昇相場と言えるものでした。

全ての上昇トレンドがこのようになれば理想的なのですが、実際には稀なことです。多くの場合は短命に終わり、現在のように右往左往させられるような「ノートレンド状態」が続くこともあります。強くて長い大きな上昇トレンドが起きた直後は、連続して大きく高騰しにくいため、こうした方向感のない相場が続きやすいのだと思います。

ITハイテク株の上昇に期待 

2021年も第1四半期(1-3月期)が終わりましたので、1月~3月までのセクター別の状況を再度確認したいと思います。

年初来の騰落状況を見てみると、2020年と打って変わってオールドエコノミー銘柄に代表される、低成長、低利益率で株価の勢いも無かった割安株や小型株の値動きが優勢となっています。

テンセント(00700)やアリババ(09988)、美団(03690)などの中国を代表するITハイテク株の動きはあまりよくありませんでした。2020年はITハイテク株ほどよく上昇していましたので状況が変わった印象です。

ITハイテク株でなくても、農夫山泉(09633、中国のミネラルウォーター最大手)のように2020年に新規上場した銘柄で大幅高となったモメンタム株(勢いに乗ってどんどん買い進まれる株)やその他の成長株も反動安となりました。

相場の潮目が変わったのは2021年2月に米国の長期金利が上昇したあたりからです。2021年3月の騰落率を見ると、ITハイテク株が全体的にマイナスの株価推移となっています。

つまり、2021年の第1四半期はこれまで買われていた成長株が売られ、経済の正常化でこれまで安値で放置されていたバリュー株の利益が増えるとして、見直されて買われたわけです(もちろん、香港のITハイテク株が軟調となった理由には中国当局によるネット大手に対する規制強化懸念が向かい風となったところもあります)。

しかし、これまでたびたび触れていますが、このようなITハイテク企業のファンダメンタルズは極めて強く、調整を乗り越えた先に次の投資機会があると思います。もしかすると3月下旬から株価の流れが変わりつつある状況がこのまま続けば、ITハイテク企業の本格的な株価回復も期待できるのではないかと思われます。

米国でもマイクロソフトやアルファベットが最高値近辺まで上昇してきています。これらが今後も強く推移するなら、再び世界的にグロース株が強くなる形での株価上昇トレンドが期待できると思います。