中国の株式市場は、2011年10月24日から11月7日にかけて金融政策の微調整を歓迎した上昇相場が続きましたが、先週は先々週に続いて下落となり、上海総合指数はふたたび50日移動平均線を割り込んできました。香港H株指数も21日(月)に50日移動平均線を割り込んできています。中国政府の金融政策の微調整は続いているものの、前回も指摘しましたように、相場全体にインパクトを与えるような緩和政策が出るまでにはまだ半年程度は時間がかかるものと思います。今は中国の金融政策の転換がいつになるのかをゆっくりと待ちながら、買い場を探るところかと思います。
中国の経済ニュースでは、11月18日に中国国家統計局が、中国70都市の10月の住宅価格の動向を発表しました。10月の結果ですが、2010年第2四半期から中国政府が引き締め策を講じて以降、初の前月比ベースのマイナスになっています。新築分譲住宅の価格推移を都市別に見ると10月は前月比ベースで価格が下落した都市が、8~9月に比べて大幅に増加しています(下記参照)。ちなみに、上海、深セン、広州などの主要都市も若干下落しています。この数字をみると、もしかすると10月が転換点となり、年末の決算に向けて、不動産の処分売りに動く不動産業者が出てくるかもしれません。そうなれば、不動産価格の下落に弾みがつく可能性があります。短期的に考えれば、これは株式市場にとってマイナス要因です。しかし、不動産価格が落ち着けば、中国政府が緩和政策を取れる余地ができますから、長期的には悪いことばかりではありません。
■新築分譲住宅の価格推移(前月比)
上昇 下落 変わらず
8月 24都市 16都市 30都市
9月 24都市 17都市 29都市
10月 16都市 34都市 20都市
一方で欧米を見てみると、米国ではいよいよ来週からホリデーシーズンを迎え、クリスマス商戦の行方が注目されています。特に初日の金曜日はブラックフライデーと呼ばれ、4兆円近い買い物が一日で起きる開幕日であり、小売各店はこの日に全力を注ぐこととなります。例年であればこのような恒例行事に注目集まります。しかし、今はそういった消費動向や企業業績、経済指標等よりも、欧州債務危機ニュースによって市場が影響される度合いが強くなっています。先週はイタリア国債の利回りが一時再び7%を超え、スペイン国債もそれに影響されて7%近いところまで上昇、トリプルA格付けが危ういフランス国債も利回りの上昇が続きました。
週末には欧州中央銀行が必死でイタリア、スペイン国債を買い支えたので利回りが落ち着き、株式市場も少し反発しています。目先はこのように欧州のニュースフロー次第で上にも下にもいくボラティリティーの高い相場展開が続くものと思われ、香港市場もその影響を受けます。そのことを頭にいれ、中国の金融政策の転換を待ちながらも、注意深く相場を見守っていく必要があると思います。