対円より緩やかな対ユーロ、豪ドルでの米ドル高

先週は、ユーロ/米ドル、豪ドル/米ドルともこの間の安値更新、米ドル高値更新となった。米ドル全面高ということだが、ただ対円に比べると、ユーロや豪ドルに対する米ドル高のピッチは、これまでのところは緩やかだ。

ちなみに、2021年の米ドル最大上昇率は、対円ではすでに8%以上となっているのに対し、ユーロや豪ドルに対してはまだ5~6%程度にとどまっている。ある意味では、米金利上昇を受けた米ドル高相場において、円安に比べてユーロ安や豪ドル安は出遅れた感じになっているとも言えるかもしれない。

これは、私が米ドル/円で最近よく取り上げる52週MA(移動平均線)との関係を見てもわかりやすいだろう。米ドル/円は52MAを大きく上回っているのに対し、じつはユーロ/米ドルも豪ドル/米ドルも、まだ52週MAより米ドル安水準となっている(図表1、2、3参照)。ちなみに、ユーロ/米ドルの52週MAは1.168米ドル程度なのでかなり近づいてきたが、豪ドル/米ドルのそれは0.72米ドル程度とまだかなり距離がある。

【図表1】米ドル/円と52週MA (2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表2】ユーロ/米ドルと52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表3】豪ドル/米ドルと52週MA (2005年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

米ドル高トレンドが展開するなら、経験的には52週MAを米ドルは5~10%以上上回る見通しになる。それをユーロ/米ドルに当てはめると、1.05~1.1米ドルへユーロ一段安、米ドル一段高の見通しになる。また豪ドル/米ドルに当てはめると、0.64~0.68米ドルへ豪ドル一段安、米ドル一段高の見通しになる。

米金利上昇に伴う米ドル高相場が続くということなら、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルの米ドル高の余地は、米ドル/円以上に大きいということになるかもしれない。