東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて3日続伸となりました。301円高の29,478円で寄り付いた日経平均は直後に333円高の29,510円まで上昇した後10時過ぎに175円高の29,352円まで上げ幅を縮めましたが、11時10分に337円高の29,514円まで持ち直すと307円高の29,484円で前場を終えました。289円高の29,466円でスタートした後場の日経平均は13時前に401円高の29,578円まで上昇しましたが、14時過ぎから急速に上げ幅を縮めると14時40分過ぎには24円高の29,200円まで弱含みました。しかし、マイナスになることなく踏み止まると持ち直し結局207円高の29,384円で取引を終えています。一方で新興市場は軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。
2.個別銘柄等
先週末の米国市場で主要な半導体関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が5%近く上昇したこともあって半導体製造装置関連銘柄が買われました。河合社長がインタビューで2022年3月期の見通しについて過去最高だった2019年3月期の水準を超えることも十分可能との見通しを示したこともあって東京エレクトロン(8035)が3.3%高となったほか、レーザーテック(6920)が2.8%高、SCREENホールディングス(7735)が2.0%高、アドバンテスト(6857)も2.6%高となり、SCREENホールディングスは昨年来高値を更新しました。
日産東京販売ホールディングス(8291)も一時10.0%高となりました。新型車のノート・キックス・ルークスが好調に推移していることや以前から販売しているリーフ・セレナ・デイズなどが引き続き好評を得ていることなどから通期の営業利益の見通しを18億円から30億円に上方修正したことが好感されました。しかし、上げ幅を縮め引けは1.5%高に止まっています。また、西松屋チェーン(7545)が投資判断と目標株価の引き上げを受けて6.4%高となっています。
一方で野村ホールディングス(8604)が急落し16.3%安となりました。米国子会社において米顧客との取引で多額の損害が生じる可能性があると発表したことで売りがかさみました。ジャスダック市場でも出前館(2484)が8.6%安となりました。上期の営業損益が広告宣伝費や人件費が膨らみ84億円に近い赤字となり赤字幅が拡大したことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は207円高となりました。新型コロナウイルスのワクチン普及への期待が続き先週末の米国市場が続伸となりダウ平均とS&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となるなか、配当取りの買いやインデックス運用に絡む配当再投資の先物買いへの期待などにも支えられ一時400円以上上昇し節目の29,500円も回復しました。しかし、スイス金融大手クレディ・スイス・グループをはじめとする一部金融機関が実施した米ヘッジファンドへのマージンコール(追加担保の差し入れ要求)が債務不履行(デフォルト)になりポジションの整理を進めていると伝わると後場に入って急速に上げ幅を縮め、TOPIXは一時下落に転じました。明日は3月末決算銘柄の権利落ち日で180円弱の配当落ちがあるとみられますが、マーケットがやや不安定となるなかで配当落ちをどこまで埋められるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)