米ドル/円 

週間予想レンジ:105.50~108.00

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル高の流れが強まる
・受動的な円売り加速
・米ドル全体の切り返し

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週、大幅続伸した。一時106.70円をトライし、2020年8月高値以来の高値を更新した。先週は米長期金利の急伸で株価の急落が見られたが、いわゆる「株安の円高」が見られず、むしろ「米ドル買い・円売り」の一段の加速が見られた。

度々指摘してきたように、そもそも円は諸外貨のうち一番弱い存在となっており、米ドル全体の切り返しがあれば、まず円が受け皿として売られる可能性が大きく、先週の値動きをもって再度それが証明された。「リスクオフの円高」云々はもはや過去の話だ。円はリスク回避先としての役割を失っており、受動的な立場がますます強まっていくと思われる。

ゆえに、先週の大幅続伸を自然な成り行きと見なせる。先週の米長期金利の急伸は、米ドル買いの材料として米ドル全体の反発をもたらし、一番弱い円に対して米ドルの上値余地の拡大もその一環として理解されやすい。その半面、主要クロス円における外貨の反落があっても、受動的な円は主体性を発揮できず、米ドル/円への波及が殆ど見られなかった。

2020年の6月高値を起点とした全下落幅の半分の戻りの水準(約106.23円)以上に大引けした先週の終値に鑑み、米ドル/円のさらなる切り返しの余地が推測される。前回コラムで指摘した通り、昨年3月高値を起点とした全下落幅の半分の戻りの107.17円前後の打診が有力視され、更に108円台前半の打診も射程圏に収める。

既述のように、先々週の足型が「スパイクハイ」とも解釈できただけに、先週の大幅続伸や大陽線の形成が強気サインとして一段と確立され、これからの上値余地を拡大していくだろう。

つまり、2020年3月高値から形成してきた大型「下落ウェッジ」に対する上放れが「ホンモノ」であり、これから継続される公算である。その反面、年初来安値を起点した切り返し自体も「上昇ウェッジ」といったフォーメーションを形成している疑いがあり、一直線な上昇とは限らないだろう。

この場合、一旦調整してから再度上値トライしていくと思われるが、105円前半~同半ばは支持ゾーンとして意識されるだろう。何らかの材料で深押しがある場合、104円半ば~同後半の支持ゾーンも意識され、しばらく底堅い推移を維持できる公算である。

既述のように、年初安値(102.58)を「ヘッド」とみなし、2020年11月安値(103.17円)と1月21日安値(103.32円)を「ショルダーズ」とみる場合は、大型「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」(逆三尊)の成立が確認される。同フォーメーションの存在が先週の大幅続伸をもって一段と証明された以上、107円関門のトライは規定路線とみる。押し目買いのスタンスを維持していきたい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:81.00~84.00

メインストラテジー:レンジ取引

・豪ドルは反落基調
・豪ドル次第の公算
・高値圏でのレンジ

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週高値を更新してから反落した。「スパイクハイ」風の陰線で大引けし、一旦頭打ちを示唆した。もっとも、我々繰り返し指摘してきた通り85円大台の手前までトライし、目標達成感も強く、メイントレンドとしての強気変動自体はなお維持されている。

その半面、米ドル全体の切り返しが始まったばかりで、豪ドル対米ドルの反落の値幅がこれから一段と拡大される可能性も大きい。豪ドル/円の豪ドル次第の性質に鑑み、今週続落があってもおかしくなかろう。但し、メイントレンドとしてはブル構造が維持され、高値圏でのレンジ変動がもっとも有力視され、ベアトレンドへの転換は想定されにくい。

先週陰線で大引けし、目先一旦調整の先行を示唆していたが、2018年12月高値を一旦ブレイクしただけに、理論上、更なる上値余地を拡大した公算である。すなわち、調整波の先行があれば、これからの上昇波をより健全化させる側面が大きいため、押し目買いのスタンスは不変である。

2020年8月高値をブレイクした後の上昇が一段と加速され、また同高値のブレイクによって日足における「三尊底」というフォーメーションの成立を確定しただけに、同フォーメーションの維持がなお大きな影響を果たすだろう。

2020年3月のコロナショック時の安値を「ヘッド」と見なした場合、2018年12月安値を含め、複合型「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」の成立がより鮮明化される。先週の高値トライはあくまで途中とみなし、調整波を経て更なる上値余地を拡大する公算である。同フォーメーションの支持なら、2017年高値90.42円への戻りも想定される。

但し、目先は調整波の先行を有力視し、80円後半は目先の支持ゾーンであり、一旦打診があるだろうとみなす。何らかの材料で深押しがある場合は、78円台のトライも想定されるが、あくまでサプライズシナリオとして念頭におき、目先は、そこまでの下値余地を想定しにくい。すなわち、高値圏での保ち合いが一番現実的であり、あくまでレンジ取引とみるべきであろう。

とは言え、上昇波の一服も確かである。ここから早期に高値を更新しない限り、切り返しの先行があっても再度頭打ちされやすく、レンジの下限をトライする見通しである。81円後半の割り込みがあれば、80円後半への打診がほぼ確実視される。押し目買いのスタンスが維持されても、早急な行動は避けたいところだ。