中国統計局が2011年10月14日に発表したマクロデータによると、2011年1~9月、中国全体の小売総額は前年同期比17%増の13.08兆元です。9月だけの成長率を見ると17.7%増であり、8月の成長率と比べ1.4ポイント上昇しています。インフレの影響を除いた、9月の小売額の実質成長率は11.6%増ですが、こちらも8月比で0.8ポイント上昇しています。セクター別を見ると、飲食・煙草・お酒の売上は前年同期比24.4%増。アパレルは27.6%増、ジュエリー38.5%増、家電製品19.5%増となっています。ここから考えると、ジュエリーとアパレルの販売に関係のある百貨店の業績が好調だと推測できます。実際のところ、9月に百貨店企業を現地訪問しましたが、販売量・販売価格ともに好調であり、今もスローダウンの兆しは見られないとのことでした。

ともあれ、世界的な不況である現在、国内消費はすでに中国経済成長の支柱となっています。2011年1~9月、中国のGDP(国内総生産)成長率は9.4%です。消費がGDPに占める比率は47.9%になり、GDP貢献率は2010年通期比で10.6ポイント拡大しています。そして、中国政府はさらに国内消費を拡大させる意向です。10月25日、中国商務部、財政部、中国人民銀行(中央銀行)は共同で、第十二次五カ年計画(2011年~2015年)期間に消費を拡大する方針を発表し、内需拡大政策を発表しています。それによると、商務部は2012年のある月を「消費促進月間」に定め、地方の商務管理部門に販売促進活動を促す計画です。また、財務部と中央銀行は消費拡大方針に基づき、商業分野向けの資金支援策を実施する計画です。

一方、消費拡大の必要条件として、国民所得の増加にも中国政府は取り組んでいます。10月25日、中国人力資源・社会保障部は第3四半期の記者会見において、最低賃金の引き上げについて説明しています。それによると、2011年初から9月末まで、北京、天津、山西などの21地域では最低賃金が引き上げられ、その平均上昇幅は21.7%であるとのことです。これらの消費拡大政策の発表は小売企業にとって長期的な好材料です。9月14日には温家宝首相は世界経済フォーラムにおいて、内需拡大によって世界経済を支援すると述べましたが、息の長いテーマとして中国の消費関連セクターは注目に値すると思います。