2020年からコロナ禍の状況が続いていますが、新興国市場は足元で株式、通貨ともに堅調に推移しています。外貨建て投資、特に新興国通貨建ての投資は、長期にわたる超低金利下の日本国内にいる私たちにとって、高金利を享受する機会として大きな魅力です。

しかし、その一方で、外貨建て投資をするにあたっては為替変動リスクを避けて通れません。そこで今回は、新興国通貨を「エマージング通貨」と「フロンティア通貨」に分けて直近の推移を見つつ、改めて分散投資の重要性について考えていきましょう。

新興国通貨を2分する「エマージング通貨」と「フロンティア通貨」

一口に新興国と言っても様々な国があり、また、それに応じて新興国通貨も様々な通貨があります。ここでは便宜上、当社クラウドクレジットで取扱い実績のある新興国通貨に限定してお話を進めていきます。

その上で、新興国通貨を「エマージング通貨」と「フロンティア通貨」に2分してみます。ここでの区分方法は、世界銀行が年に1回公表する1人あたり国民総所得(Gross National Income、GNI)に基づく分類で、以下の通りです。なお、各通貨の区分については、後掲のグラフ「為替トータルリターン推移」の始点にあたる2018年1月時点を採用しています。

【図表1】
・エマージング通貨:「高位中所得国」に分類される国の通貨
・フロンティア通貨:「低位中所得国」あるいは「低所得国」に分類される国の通貨
出所:世界銀行“Data Catalog”のデータに基づいてクラウドクレジット作成

 相対的に変動が大きな「エマージング通貨」と安定的な「フロンティア通貨」

さて、ここからは、上記で区分した「エマージング通貨」と「フロンティア通貨」に基軸通貨であり先進国通貨の代名詞と言える米ドルを加え、直近3年間の為替トータルリターンの推移を見ていきます。

【図表2】
  出所:Bloombergのデータに基づいてクラウドクレジット作成

2020年3月上旬、新型コロナウイルスの世界的大流行の影響で、いわゆるコロナショックが起こり、米ドル、エマージング通貨、フロンティア通貨ともに急落局面となりました。しかし、エマージング通貨が2桁台の大きな下落幅なのに対し、米ドルとフロンティア通貨は軽微な下落に止まるという明暗が分かれるかたちになっています。

米ドルはともかくとしても、フロンティア通貨がここまで安定的な動きを見せていることを意外に思われた方もいらっしゃるかもしれません。この背景には、フロンティア通貨の多くがペッグ制を採用していることが挙げられます。ペッグ制とは、ある特定の通貨(主に米ドル)に自国通貨を固定、あるいは変動幅や変動率を一定の水準以下に保つ為替制度を指します。今回これが功を奏した側面は否定できないでしょう。

その後、米ドルは緩やかに下落していますが、フロンティア通貨は対照的に緩やかな上昇となっています。一方、エマージング通貨はコロナショックで相対的に大きな下落となりましたが、その後は不安定に上下動しつつも徐々に下値を切り上げて上昇しているのが見て取れます。

歴史に学ぶ「分散投資の徹底」の重要性

ここでお伝えしたいのは、いかに通貨を取捨選択するかということではありません。もう一度、上のグラフをご覧いただくと米ドル、エマージング通貨、フロンティア通貨の全平均も示しています。やはり、すべてをまとめることで変動率が抑えられ、パフォーマンスの安定化が図られやすいということです。

「何を今更当たり前のことを・・・」と思われるかもしれませんが、何事も基本を疎かにしてはいけないということでしょう。投資の世界においては「分散投資の徹底」、これこそが基本中の基本と言えます。改めて歴史に学んで自戒としたいものです。