2月に入り米国株式市場は波乱の展開となっています。NYダウ平均は一時24,000台を割り込み高値から3,000ドル程度下げる局面もありました。ただ、米国経済の拡大が直ぐにでも頓挫するというシナリオでもない限り、この水準から売り一辺倒の相場を想定するのは悲観的過ぎると筆者は考えています。相場の鍵は、米国での物価上昇懸念がどう消化されていくかではないかと思います。次回の2月米雇用統計(3月9日発表)では、時間当たり賃金の動向が注目されますが、これにより、FRBの利上げ路線に、ある程度コンセンサスが得られ、債券市場が落ち着きを取り戻すことが、株価安定への最良のシナリオでしょう。株式・債券市場とも、2月は落ち着きどころを探る神経質な展開は致し方ないと思います。

アジア株式市場も、米国株式市場の影響を受けて、同様に値を下げました。香港のハンセン指数は、1月26日の高値33,154(終値ベース)から2月12日には29,459と11%ほど値を下げました。一方で、インドのSENSEX指数は、同期間内で36,283(1月29日)から34,005(2月9日)と6.3%の下落にとどまっています。値下がり幅を比較することに大きな意味はありませんが、かつて見られたような、米国など先進国市場での混乱が、エマージング市場では増幅されて、投資家はより痛い目に遭うという事態とは少々違うことが起こっているのではないかと筆者は感じています。

香港市場に話を戻しますが、日本株式市場が円高の重しもあって、軟化する中、ハンセン指数は、12日を底に、値を戻す展開となってきています。上述の通り、11%ほどの値下がりはありましたが、既に半値近い戻りを見せています。中国の政策に対する期待感も一部に根強くあることは確かですが、アジア・中国地域の成長に対する期待も、引き続き根強いことをうかがわせる例なのではないかと、筆者は感じています。

コラム執筆:Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank (NWB)
世界三大金融市場の一つである香港にて、個人投資家に、「世界水準の資産運用商品」と「日本水準のサービス品質」、個人向け資産運用プラットフォームとしての「安心感」を併せて提供している金融機関。マネックスグループ出資先