中国は2010年から金融政策を引き締め方向に転換しました。マネーサプライは急激に抑えられ、M2(市中に出回っている資金量)の伸び率は、2009年12月には前年同月比ベースで29.7%増まで急激に伸びたのに、2010年7月には17.61%増まで抑えられ、2011年9月には13.00%増まで抑えられています。

その結果、(2009年の上昇が急激すぎたこともありますが)中国株は、米国株や世界の株式市場が2011年6月までの米国の量的緩和政策の恩恵を受けて上昇している間、上昇しませんでした。当然ながらGDP成長率も一時よりは落ち込んでいます。2010年第1四半期のGDP成長率は前年同期比11.9%でしたが、2011年第3四半期のGDP成長率は9.1%増となっています。

この結果を受けて、一部では中国株・中国経済は終わったと考える方もいるようです。たしかに2007年第1四半期のGDP成長率は14.0%でしたし、最盛期の成長率からみると現在の成長率は低い数字です。現在の9%の成長は、中国にとっては絶好調の数字ではありません。しかし、どの先進国の好調時ですら、今の中国不調時の半分程度の成長率もすることができていないのが実情なのです。

例えば、サブプライムバブルで絶好調だった2006年や2007年の米国でもGDP成長率はたったの2~3%に過ぎません。もちろん、GDP規模が小さい国には中国以上の高い成長率を持つ新興国もあります。しかし、既に中国は新興国と呼べる規模ではなくなっており、国の規模が全く違いますので一概に比べることは出来ません。2010年のGDP規模は既にフランス(5位)、ドイツ(4位)、日本(3位)を追い抜いて、米国に次ぐ世界第2位。このような大国であるのに大きな成長を遂げているのです。

そして、GDP総額では世界2位となった中国も、一人当たりのGDPでは4400米ドル前後、世界で90番目ぐらいです。日本の10分の1、韓国と比べても約5分の1、世界平均の9000ドル前後と比べても2分の1程度です。これが何を意味するかというと、成熟社会の日本と異なり、今後も大きく成長できる余地が残っているということです。つまり今後もしばらくは世界から比べると高い成長率で経済が成長していくと予想できるわけです。従って、株式市場そのものがダメになったというなら別ですが、長期的に見た中国株の有望度合いは世界の中でも高い位置付けのままだと思います。