香港には、ゴルフコースが6箇所ある。東京都23区より狭いと言われる香港は、住宅事情は深刻であり、特に若年層の住宅取得は親からの相続でもない限り相当に厳しいものがある。実際持ち家比率が、50%とシンガポールの90%に比べても低い。そんな狭い土地でゴルフをプレイするのは、贅沢なスポーツである事は間違いない。筆者も在香港6年になるが、一度も香港市内でゴルフをしたことがない。やるとしても、近隣諸国のコースでしかしない。結果として年数回しかゴルフをしないことになる。 香港で最も格式の高いThe Hong Kong Golf Clubの歴史は120年以上と長く、1889年の開業当初はThe Royal Hong Kong Golf Clubと言う名前で呼ばれ伝統ある格式の高いゴルフクラブである。未だ女子禁制のバーがあるやや時代錯誤な処もある。会員になるには、個人会員では最近は短くなったと言われているが最低14-15年かかるそうである。つまり既会員が亡くなると、長いWaiting Listから次の順番の方が会員になれるという事である。法人会員は、なんと日本円で2億円はくだらないと言われる。 そのThe Hong Kong Golf Clubも数年に一度新聞紙上で話題になる。何せ住宅事情が最悪の狭い香港に54ホール3コースもあり、170エーカーの土地を占有しているので、庶民から見れば目の敵にされるわけである。「ゴルフコースより住宅を!」という事である。香港の土地は、基本は香港政府が有しており借地(Government Lease)である。ゴルフ場も例外ではなく、ある識者によるとなんと年間2香港ドル(つまり30円程度)と言う噂もある。アクティビストを中心に「ゴルフ場をアパートに」の世論は盛り上がるが、香港政府の腰は重く、住宅大臣も最近「相互理解が必要だ。いろいろな意見があっても良い」と本件に関する曖昧なコメントを出している。それはそうであろう。当ゴルフクラブの会員は、皆さん香港の政財界の重鎮ばかり。香港政府といえども、彼らの支持を失うのは、辛い訳である。そして、先般、スイス系大手銀行主催の香港オープントーナメントが開催されたが、庶民にとってはゴルフツアーを観戦する為にThe Hong Kong Golf Clubを見学するのがせめてもの楽しみと言える。
コラム執筆:Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank (NWB)
世界三大金融市場の一つである香港にて、個人投資家に、「世界水準の資産運用商品」と「日本水準のサービス品質」、個人向け資産運用プラットフォームとしての「安心感」を併せて提供している金融機関。マネックスグループ出資先