東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅続伸となり節目の29,000円を回復しました。52円高の28,831円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分余りで節目の29,000円を上回り9時40分過ぎに510円高余りまで上昇した後一旦伸び悩みましたが、10時20分頃から再び上げ幅を広げると11時10分前に618円高の29,397円まで上昇し598円高で前場を終えました。558円高の29,337円でスタートした後場の日経平均は13時40分前に483円高の29,262円までやや上げ幅を縮めましたが、その後戻すと大引け間際に621円高の29,400円まで上昇し結局609円高の29,388円で取引を終え昨年来高値を更新しています。

こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

ソフトバンクグループ(9984)が4.4%高となり昨年来高値を更新し、日経平均を1銘柄で87円押し上げました。先週末の米国市場でナスダック総合株価指数が最高値を更新したことで米ハイテク株に投資するソフトバンクグループに物色が向かいました。

日本製鉄(5401)も急伸し10.0%高となりました。落ち込んでいた需要や市況が想定以上に回復したことやコスト削減の効果もあって第3四半期3カ月間の事業損益が5四半期ぶりに黒字転換し、600億円の赤字を見込んでいた通期の事業損益も300億円の黒字になる見通しとなったことが好感されました。第3四半期3カ月間の営業損益が黒字に転換し通期の営業損益の見通しを150億円の赤字から100億円の黒字に引き上げた神戸製鋼所(5406)も買いを集め17.5%高となり昨年来高値を更新しています。

ゴールドウイン(8111)も9.1%高となりました。第3四半期9カ月間の営業利益は前年同期比で16%余りの減益となりましたが、第3四半期3カ月間の営業利益が前年同期比で16%に近い増益となったことが評価されました。一時は14.9%上昇しストップ高となる場面もありました。また、日本製紙(3863)も第3四半期3カ月間の営業利益が前年同期比で増益に転じたことで6.4%高となっています。

一方でダイフク(6383)が9.1%安となりました。通期の営業利益の見通しを410億円から425億円に上方修正しましたが市場予想に届かなかったことで失望をかいました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は609円高となりました。追加の米経済対策の早期成立への期待から先週末の米国市場が続伸となり、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことで買いが優勢となりました。また、企業の決算発表が進むなかで第3四半期(2020年10-12月期)に増益や黒字に転じる銘柄も目立ち業績の回復傾向が日に日に鮮明となっていることもあって幅広い銘柄に買いが入り上げ幅を広げました。こうしたなかで先週末はTOPIXが昨年来高値を一足早く更新しましたが、本日は日経平均も1月25日に付けた昨年来高値(28,822円)を大きく上回り1990年8月以来約30年半ぶりに節目の29,000円を回復しました。これより30,000円の大台回復を期待する声も一段と増えそうですが、まずは利益確定の売りも出やすいなかで29,000円台で下値を固めることができるかがポイントとなりそうです。

なお、本日も引け後に住友金属鉱山(5713)やいすゞ(7202)、オリックス(8591)、ソフトバンクグループ(9984)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)