日本人の感覚からすると、中国経済の高成長はよくわかるけれども、日本の優良企業の代表格であるトヨタ自動車のような優良企業は存在しないと思うかもしれません。そこで、日本の優良企業と、中国のトップ企業を日本円で比べてみましょう。日本の優良企業で有名な企業といえば、やはりトヨタ自動車でしょうか。トヨタ自動車(7203)の2011年3月期の売上は約19兆円、純利益はおおよそ4000億円であり、設備投資額は約6400億円となっています。

一方、中国では中国最大の石油企業である中国石油(00857)と中国最大の携帯電話キャリアである中国移動(00941)が利益と設備投資が突出して大きな企業です。ここで中国移動について、2010年12月期の業績を見てみましょう(以下、為替は2010年末の1元=12.278円で計算します)。中国移動は5兆9577億円の売上、1兆4689億円の純利益を稼ぎながらも、継続した成長と高い利益率を持ちます。営業からのキャッシュフローで約2.9兆円を稼ぎ、そこから毎年約2兆円もの巨額の投資を行っており、なお1兆円以上の利益を出しているという「稼いでいる大企業」です。すでに累計6億1680万件の加入者を持ち、日本のNTTドコモ(9437)より巨大になっています。

しかしドコモは、もうこれ以上、大きく成長をするのは難しいかもしれません。日本では1億2000万人の人口に携帯が行き渡っており、あとは、携帯キャリア3社で利益率を落としながらパイの奪い合いをするしかないからです。一方、中国移動は人口から考えても、ここからさらに5億人以上加入者を増やすことができますので、ドコモを超える規模になった今でも、なお高成長が可能なのです。それから中国石油の場合ですと、売上が17兆9924億円、純利益が1兆7188億円で営業キャッシュフローは3兆8423億円もあります。

一方、中国の銀行最大手の工商銀行(01398)にしても、三菱UFJフィナンシャルグループと比較して約3.5倍の利益があり、利益率・成長率も高くなっています。このように同じ巨大ブルーチップ企業であっても、日本企業は低成長率、低利益率となっており、一方、中国企業はすでに額の上でも日本を圧倒しているばかりか、高い成長性と利益率を持つことがわかります。これが中国株(経済)と日本株(経済)の相違点をよく表している事象であると思います。