掛金の所得控除を受けるためには確定申告が必要
長く自営業やフリーランスでお仕事をされている方はご存じのことだと思いますが、最近、新たにフリーランスでお仕事をされている方も増えてきているようなので、税メリットを受けるための注意点をまとめておきたいと思います。
自営業者の老後資産形成をサポートするために用意されている制度では掛金の所得控除が認められていますが、実際にその適用を受けるためには「確定申告」が必要です。今年度納めた掛金額を証明する書類が圧着ハガキなどで11月に集中して届いていると思います。確定申告には証明書の添付が必要ですので、まずは自分が加入している制度の「控除証明書」が手元にあるか、という確認から始めていきましょう。
万が一、見当たらないという方は再発行を依頼することも可能ですが、iDeCo(個人型確定拠出年金)は約3週間、その他の制度は1週間程度の時間がかかりますので、確定申告の期間に入る前に早めに確認しておきましょう。
国民年金の保険料・付加保険料は、社会保険料控除の対象に
国民年金の保険料・付加保険料については、いずれも納めた保険料の全額が「社会保険料控除」の対象です。本人分だけでなく配偶者や子供などの国民年金保険料・付加保険料を支払っている場合は、それらもすべて社会保険料控除の対象となります。
その年度に納めた保険料の額を証明する「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」は10月31日(令和2年(2020年))に被保険者宛に発送されています。下宿している子供の証明書は、もしかしたら下宿先が登録住所になってそちらに届いているかもしれません。また、9月末までは1号被保険者でなく、10月以降に1号被保険者になって国民年金保険料を12月末までに納めたという方には納付実績確認後2月5日(令和3年(2021年))に発送される予定になっています。該当する方は焦らずお待ちください。
形式は圧着ハガキで届くというケースが多いと思いますが、13ヶ月以上の前納をされている方は年度をまたいだ税申告ができるようにA4サイズの証明書で届きます。逆に追納した場合はその納付した際の領収書が納付額の証明になります。国民年金保険料を納付した際の領収書は、大切に保管しておくようにしましょう。
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書:再発行手続きについて
もし、控除証明書が届いているはずなのに見つからない、という方は「基礎年金番号」など必要な情報を手元に準備してから下記のいずれかの方法で再発行の申請をすると1週間程度で登録住所に届きます。
→ ねんきんネットからWEB申請
→ ねんきん加入者ダイヤル (ナビダイヤル)0570-003-004
050から始まる電話でおかけになる場合は、(東京)03-6630-2525(一般電話)
月~金曜日 午前8時30分~午後7時00分
第2土曜日 午前9時30分~午後4時00分 ※祝日(第2土曜日を除く)
https://www.nenkin.go.jp/section/tel/index.html
→ お近くの年金事務所に出向く
もし、納付漏れがあった場合には、この機会に納めて将来もらえる年金額を増やしましょう。納付期限から2年以内であれば追納することができます。今納めれば今年度、つまり来年の確定申告の時に控除できる額が増えることになります。
小規模企業共済・iDeCo(イデコ)の掛金は、「小規模企業共済等控除」の対象に
小規模企業共済とiDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等控除」の対象です。
小規模企業共済掛金払込証明書の発行スケジュール
「小規模企業共済掛金払込証明書」(控除証明書)がいずれも11月に圧着ハガキで届きます。ただし、こちらも9月末までの納付を前提に発行されるので、10月以降に新規で払込をした場合には、11月の発行には間に合いません。
小規模企業共済掛金払込証明書の発行スケジュール(10月以降に新規で払い込み開始した場合)
小規模企業共済の場合
2月中旬に発行されます。受け取りが確定申告期間に突入後になってしまうので、10月~12月分の支払い証明については引き落としが確認できる通帳のコピーや現金納付の場合はその領収書を添付することでも代替できるようです(小規模企業共済のウェブサイトより)。
iDeCoの場合
10月に初回払い込み 12月発行
11月に初回払い込み 翌年1月発行
12月に初回払い込み 翌年2月発行
小規模企業共済等掛金払込証明書再発行申請書:再発行手続きについて
小規模企業共済の場合
「共済契約者番号 (ハイフンを除いた合計9桁の番号)」を手元に用意し、いずれかの方法で再発行の申請を行ってください。登録住所に届くまで1週間程度かかります。
→ 制度運営主体の独立行政法人 中小企業基盤整備機構のホームページにある専用フォーム
(https://krs.bz/smrj-hp/m/37-j)からWEB申請
→ 電話(自動音声ガイダンス)042-567-3308
受付時間 : 午前6時~午前0時(土曜、日曜、祝祭日含む)
※再発行手続きの詳細はこちらのウェブサイトでもご確認いただけます。
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/customer/procedure/reissuance/02.html
iDeCoの場合
契約している運営管理機関を通じて、制度運営主体の国民年金基金連合会に「小規模企業共済等掛金払込証明書再発行申請書」という書類を提出することによって再発行の申請を行います。登録住所に証明書が届くまでに約3週間と非常に時間がかかる点に注意が必要です。再発行を依頼するための「小規模企業共済等掛金払込証明書再発行申請書」を入手する方法は以下のいずれかの方法で行ってください。
→ 契約先運営管理機関のコールセンターに電話する
→ 契約先運営管理機関の(加入者としてログインが必要ないページで受付している)の「よくある質問」や手続関連情報のページからWEBで書面送付依頼をする
「小規模企業共済等掛金払込証明書再発行申請書」には「基礎年金番号」の記入が必要ですし、WEBで書類送付を受け付ける場合にも入力が求められるケースもありますのであらかじめ手元に用意して手続きすることをお勧めします。
国民年金基金の掛金は、社会保険料控除の対象
国民年金基金の掛金は、全額、社会保険料控除の対象となります。「社会保険料控除証明書」は、11月に登録住所に到着しているはずですが、全国国民年金基金連合会のお知らせによると、一部11月下旬に発送12月到着という方もいらっしゃるようです。
社会保険料控除証明書再発行手続きについて
「国民年金基金加入員証・社会保険料控除証明書再交付申請書」を加入している支部に提出するということになっています。
上記の書類は
→国民年金基金連合会のホームページからダウンロードする。
「各種届け出等」(https://www.npfa.or.jp/join/application.html)の「国民年金基金のご加入中のみなさま」という書類一覧の下の方にあります。
→お客様相談センターに電話する
東京にお住まいの方および旧職能型基金に加入されている方 0570-008-002
東京以外にお住まいの方 0570-034-666
必要書類をそろえて確定申告を
必要な証明書類さえ手元にそろえば後は簡単。確定申告する際に「社会保険料控除」「小規模企業共済等控除」にそれぞれ納付した額を控除額として申告してください。スマホやパソコンでの申告であれば、算出して記入する箇所は自動計算してくれますし、入力不備もチェックしてくれるので便利だと思います。
この手続きを行わないと所得控除のメリットを受けながら老後資産形成をする制度の魅力が半減してしまいます。毎年、忘れずに手続きするようにしましょう。