9月下旬に北京に訪問してきましたが、その中で改めて感じたことは百貨店企業の業績が堅調なことです。たとえば、今回は銀泰百貨商店(1833)という企業を訪問してきました。同社は浙江省を主要拠点に全部で23店舗の百貨店を運営している企業です。同社の足下の業績は好調で、2011年上半期の業績は売上が前年同期比42.4%増、純利益が同60.3%増と大幅増収増益となっています。

業績が大きく伸びている理由には昨年末に買収により店舗数を増やしたこともありますが、一番大きな要因は既存店の売上が堅調に拡大していることです。2011年上半期の既存店売上は、前年同期比で28~29%増と伸びています。既存店の売上が伸びた場合、コストはあまり変わりませんので、利益に対するインパクトはより大きくなります。これによって2011年上半期は会社全体の利益が35~36%拡大したことにつながったようです。

既存店の売上が伸びた要因を聞くと、販売量の拡大と販売価格の上昇が概ね半々という答えでした。百貨店は生活必需品を扱うスーパーと異なり、高級品目を扱います。金を始めとした貴金属の販売価格が上昇していることもありますが、アパレルなどにしてもブランド品が多いために価格競争力があり、値上げをしても販売量が落ちないのだと言います。この会社のCFOは中国の1人あたりのGDPは2010年には4400ドルを超えたので購買力がついてきている。今の中国では生活必需品より、高級品の伸びが大きいという点を指摘していました。

インフレを抑制するために金融引き締め政策を継続している中国ですが、内需自体は堅調でした。そして訪問した9月末時点でも、まだ販売の勢いが衰える感じはしないと言っていましたが、長い目で見た場合、中国の1人あたりGDPが1万ドルを超えるようになるまでは、このように消費が大きく伸びている状態が続くのではないかと思います。成熟してしまった先進国ではこのような消費の伸びは期待できませんから、そこを期待できるのが中国株の大きな魅力の1つなのではないかと思います。ちなみに、中国の百貨店銘柄は香港にいくつも上場しており、百盛商業(03368)、茂業国際(00848)、新世界百貨中国(00825)、金鷹(03308)といった銘柄があります。