2020年の中国株は中国本土株と香港株で明暗が分かれる

新年明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします。

2020年末にも書きましたが、2020年の中国株は、コロナ禍から回復した中国本土株と中国の強権的な関与が強まった香港株で、やや明暗が分かれました。

本土の上海総合指数が年間+14%高だったのに対し、香港ハンセン指数は▲3%の下落、中国企業株指数(H株指数)は▲4%の下落に終わりました。

ただ、必ずしも株価指数が全てを表している訳ではなくて、個別株でも大きな差がついた年でもありました。

全体的に時価総額の大きな銘柄はかなり大きく上昇したのですが、時価総額が小さくなるほど平均騰落率は低くなった印象です。特にテンセント(00700)、アリババ(09988)、美団(03690)、京東集団(09618)、小米(01810)、といったIT大手企業が堅調でした。その他でもBYD(01211)、香港交易所(00388)、網易(09999)、薬明生物(02269)などの大型成長株が大きく上昇しました。

一方、同じ大型株でも銀行、保険、石油などの、いわゆるオールドエコノミー銘柄はマイナスに終わっている銘柄が多くありました。これはITハイテクなどの割高成長株が大幅に買い進まれて一段と割高になり、割安株が放置されてさらに格差拡大するという、過去のバブル期でも見られた共通の傾向でもあります。

いずれにしても、現在の株価上昇は世界的な大規模金融緩和とコロナ禍を克服しようとする積極的な財政投資によってもたらされている金融相場の様相です。

そして、既に登場しているワクチンの接種が行き渡って新型コロナウイルスが通常の風邪と同じような扱いとなれば、中央銀行や政府による支援で経済成長が勢いを取り戻し、企業利益を押し上げて、業績が株価を牽引する業績相場に転じられるとの期待が株価を押し上げているわけです。

ここまでに書いてきたシナリオを考えれば、足元で新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン(都市封鎖)などで株価が調整したところは良い買いタイミングとなる可能性が高いのではないかと考えます。

特に2020年は年を通じて株価が上昇してきましたので、世界的に見て、税金の関係などから年内の利食いを見送り、新年明けに利食いを検討している向きも多いと思います。また、株価上昇が続いてきたあとだけに、タイミング的にもそろそろ短期的な調整が入ってもおかしくない頃合いとも思います。

中国製造業PMI、12月は51.9に低下も景況感の50以上はクリア

一方、直近の中国の経済指標は堅調です。

中国国家統計局が2020年12月に発表した中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想の52.0や前月実績の52.1は下回ったものの、51.9と景況感の境目である50以上はクリアしました。

また、中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)も55.7と市場予想の56.3や前月実績の56.4は下回ったものの、高い水準を維持しています。

さらに中国とEUが投資協定を結ぶことで大筋合意したことや2020年末の米国株が堅調に最後を締めくくったことなどから2021年1月4日(月)の中国株は好発進となり、上海総合指数は2年11ヶ月振りの高値を更新しています。

2021年の中国株に期待、優良銘柄の調査と準備を

以上のことより2021年の中国株には基本的にはチャンスが多いと思います。ただし、優良銘柄の中には2020年まで2年連続で大幅高となっている銘柄が多くあり、買うタイミングについては、前述のように調整したところなど、ポイントを慎重に探っていきたいところです。

ファンダメンタルの強い銘柄を、何らかのショック安で大きく下がったところで買えればより勝率は高まるのではないでしょうか。そのために常に優良銘柄の調査をしておき、買う準備を整えておくとよいと思います。