さて、今日は来年の相場について書きたいと思います。今年の相場のテーマは、なんと云っても異次元の流動性相場だったと思います。各国が待ったなしの新型コロナ対策として無尽蔵にお金を刷ったり財政出動する中で、通常の流動性相場の次元を超えて、モノの値段が上がると云うよりも、刷られすぎるお金の価値が下がり、モノに貼られたお金の値札の数字が大きくなる、と云うような現象が起きました。

無尽蔵に刷られるお金と同じように無尽蔵に発行される債券の値段は上がらず、供給の限られたモノ、不動産、株式、ペット(!)、供給量に上限のあるタイプの仮想通貨(ビットコインなど)などの値段が上がるという現象が起きました。日常必需品で構成される物価(CPI)は上がりません。何故ならお金を刷っている国の意志、新型コロナで疲弊した国民生活を何とか活気づけようと云う意志、に反するからです。

果たしてこれはバブルでしょうか?バブルとは、一カ所にお金が集中して向かい、その値段が上がり、しかしお金が引くと、値段がはじけるという仕組みですが、今起きているのは、一カ所に対するお金の集中ではなく、お金の価値の低下に伴う、数々の資産の値札が大きくなる現象ですから、バブルとはちょっと違い、値段も崩れにくいでしょう。そしてお金を刷った目的があるので、国は簡単にはそのお金を市中から吸い取ろうとはしません。なのでたとえバブル的な価格の上昇であったとしても、それははじけにくいでしょう。

新型コロナの変異種が増えて、この新型コロナ問題の出口が見えにくくなったら、そして経済に更に大きなダメージが起きたらどうなるか?それでも人々の生活は綿々と行われていくし、実は世界中の個人のバランスシートはさほど痛んでない、いやむしろ預貯金額は増えているので、もちろんこれはお金の価値が減っているからですが、イメージするほどの混乱にはならないのではないかと思います。少なくともマーケットの関係で云うと、そのような事態が起きれば各国はまた更に大量にお金を刷りますから、この超大量金融緩和時代の株価(やビットコインなどの価格)の上昇は、進むことはあっても戻ることはないのではないでしょうか。

むしろ、ワクチンが効いて、新型コロナ問題の出口が見えた時の方が、連想として、いずれ超大量金融緩和が終わると云うイメージが、相場の転換を惹起するかも知れません。もちろん相場は難しいものです。しかしお金が大量に刷り続けられている間は、その刷り続けられるお金を使って、供給の限られたモノを買う、と云う行動は、合理的であるように私には思われます。来年に関しては、相場観と云うよりも、このお金にまつわるメカニズムを理解し、観察し、いわゆる投資活動をしていくことが重要だと思います。