2011年上半期、中国主要自動車企業の売上合計は前年同期比4.9%増の9896億元。販売台数は前年同期比3.35%増の915.6万台となり、成長率はスローダウンしています。自動車購入支援策終了や、渋滞緩和のために各都市で実施している交通制限政策実施などがその原因です。

しかし、その中でもラグジュアリーカーの販売は好調です。2011年上半期の販売台数は前年同期比34%増となり、自動車市場の平均成長率を大きく上回っています。特にその中でも、やはり高級車の代名詞ともいうべきBMWとベンツの販売が好調です。

たとえば、華晨中国(01114)とBWMとの合弁である華晨BMWの販売量は57%拡大しています。華晨中国とBMWは今後の中国市場における高級車の販売成長を楽観視しており、華晨BMWの生産容量を3万台から2012年に10万台、2013年に30万台に拡大する計画を打ち出しています。ちなみにBMWは中国名で宝馬と書きます。宝の馬(車を指す)というネーミングはBMWに非常に良い印象を与えています。

また、メルセデス・ベンツの中国の1-8月の販売量は前年同期比41%増の12万3590台で、こちらも非常に大きく伸びています。2011年7月にベンツSクラスの販売台数は2530台となり、中国が世界最大の市場となりました。ラグジュアリーカーの販売成長で恩恵を受けている銘柄にはその他、ラグジュアリーカーのディーラー販売を手がける正通汽車(1728)があります。同社の2011年上半期の売上と純利益は共に90%以上の成長を遂げています。

ラグジュアリーカー以外でも、外国車の販売は比較的堅調です。ドイツのフォルクスワーゲンと合弁会社を持つ上海汽車(中国本土A株)の上半期の販売量は12.9%増の200.5万台と市場平均を上回っています。ただ、同じ海外との合弁でも日系合弁企業は震災の影響で部品供給が一時的に滞り、伸び悩みました。

東風汽車集団(00489)の上半期の売上はわずか3%増で、純利益は10%の減益となっています。もっとも震災の影響は一時的なものですし、日本車の人気は引き続き堅調のようですから、大きな心配はいらないと思います。一方で苦戦しているのが中国国産車です。販売量は2011年上半期で0.82%減少し、市場シェアは約3ポイント低下しています。中国国産メーカーは格安小型車に力を入れているところが多いのですが、中国政府が2010年末に自動車購入支援策を終了したため格安小型車の需要が減少したことがその原因となっています。たとえば民営自動車大手のBYD(1211)の業績を見てみると、自動車販売量は前年同期比23.4%減となり、自動車販売部門の売上は26.5%減少しています。

中国政府の自動車購入支援策が再び行われなければ、当面はラグジュアリーカーと外国車が堅調で、国産車が伸び悩む現状が続くのではないかと予想されます。