ちょうど1年前のコラムでもお話ししましたが、2020年も米ドル/円の年足チャートが気になります。2012年から2015年にかけて急速に円安が進行し、2015年に125円台の高値を付けた後は長い調整局面を強いられています。
下の図表をご覧ください。年間ベースの高値と安値のレンジで見ると、2017年、2018年、2019年と次第に値幅が小さくなっていることがわかります。そのため、1年前のコラムでは「3年連続陰線の後に2019年は陽線で切り返せば、新しい円安トレンドが始まるサインになる可能性だってあります」とコメントしました。
【図表】米ドル/円(年足)1994年~2020年
しかしながら、そうとはならずに、何の変わりもなく調整局面が続いています。むしろ、水準を切り下げる場面もありました。
ただ、2020年に下値が意識された水準は、2005年までのレンジ相場で押し目買いが意識された水準です。さらに、一目均衡表の転換線(直近9年間の高値と安値の中値)を年足で計算して描くと、概ね下値のフシとなったことに気づきます。
2020年の転換線は100.92円と、2019年(100.69円)から少し上昇しています。目で見てもわかりづらい上昇です。しかし、2021年は明確に上昇に転じることがわかります。
2021年は106.13円に大幅に上昇します。転換線のトレンドが横ばいから上抜きに変わる重要な局面に入ります。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の「IMM通貨先物ポジション」を米ドル/円で見ると、円ロングが大幅に超過しています。円高論者が増える中、少数意見の円安論者に軍配が上がるかどうかに注目したいと思います。