米ドル/円  日足

週間予想レンジ:103.00~105.00

メインストラテジー:レンジ取引

・米ドル全面安でも円高になり切れず
・円高ではなく、米ドル安が本流
・「リスクオンの円高」の見方には同意できない

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週、米ドル/円相場は再度陽線で大引けしたものの、値幅が再度限定され、先々週よりも限られた。もっとも、先々週と同様、陽線で大引けしたものの、104.75円を一旦トライしてから反落し、大引けした。週足では「スパイクハイ」のサインを灯し、同じく頭重いことを示唆した。

その半面、米ドル全面安の中、再度陽線で大引けしたことは円高になり切れていないことが示され、やはり「リスクオンの円高」という見方には偽りがあると認識せざるを得ない。

もっとも、先々週と同様に、11月第2週の大陽線の値幅にはらまれ、週足では「大きなインサイドのサインを形成している途中」といった位置づけは不変である。この意味合いにおいて、ブレイク待ちの状況にあることは変わらない。保ち合いの継続があっても早晩ブレイクを果たす見通しだが、下値リスクが消えたわけでもない。

繰り返し指摘してきたように、一番重要な視点は「ドルインデックスとの連動」、「米ドル全面安の流れにある」ということである。ドルインデックスは年初来安値を更新しているなか、米ドル/円の保ち合いがあっても弱含みで、これから再度103円関門のトライがあってもおかしくない。

その半面、主要外貨のうち、実は円が一番弱く、主要クロス円における外貨高・円安の流れが継続されていることを鑑み、3月安値になお距離を保つ米ドル/円の値幅限定自体が、株高の環境における「リスクオンの円高」を否定しているようにも見える。

すなわち、あくまで米ドル安であり、円高の傾向が続いたとしても受動的なものである。むしろ主要外貨のうち、円の「出遅れ」が鮮明であり、これから円の上昇余地があっても限定的。円の値動きだけを切り抜いて、円高云々と言うのは適切ではなかろう。この意味において、「103~105円といったレンジ内の変動は当面続き、次のブレイクなしでは断定できない側面も大きい」という従来の見方は維持される。

とは言え、先週の見方と同様、3月高値を起点とした下落波の進行が続いていることも事実である。11月23日に再度切り返したものの、足元まで一貫して反落。11月11日からの反落を継承する一環として位置づけられる。このまま下値トライが続く場合は、11月安値の再打診があっても許容範囲内の出来事と割り切る。

一方、米ドル安は円以外の外貨、特にユーロ、豪ドルが受け皿として買われる傾向も鮮明である。ユーロ/円、豪ドル/円における外貨高・円安の基調が変わらず、先週も高値更新でむしろ円安の流れを強化していた。

米ドル全面安の中、円高の余地があっても限定的な理由として、主要クロス円における円高圧力の共振が確認されていない上、主要クロス円における円安傾向に支えられる可能性も浮上してくるであろう。この場合、103円前後の下値打診があっても、更なる下値トライ、即ち「底割れ」を回避できる公算である。

日足では、11月9日の大陽線が引き続き役割を果たす。同線が示した意味合い、本格的な下放れなしでは安易に否定されないため、仮に円高の更なる進行があっても、同日安値103.19円を明白に下回らない限り見られないであろう。前記週足における「インサイド」のサインと整合するものなので、当面検証の基準として重視したい。

最近のサインとしては、12月3日の大陰線を重視する。12月4日の陽線と「インサイド」のサインを形成し、再度安値トライがあれば、11月9日安値の再打診につながる。もっとも、11月23日の陽線との整合性を考えると、あくまで中段保ちあいの一環として位置づけ、目先サインを過大解釈すべきではなかろう。

長期スパンでは、3月安値を下回れるかどうかが1つの物差しとなるであろう。現時点で、「3月安値をもって2015年高値から構築されたトライアングル型保ち合いに終止符を打った」という従来の見方をなお維持する。しかし、仮に101円関門割れがあれば、従来のカウントを数え直す必要があっても、2015年高値を起点とした大型保ち合いの延長と見なし、「構造上の円高時代への逆戻りはない」という大局観を維持したい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:77.00~80.00

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル安が本流のなか、豪ドルは受け皿として買われる
・「リスクオンの円安」が本来の姿、対円も高値更新へ
・年初来高値更新は規定路線、達成があっても通過点
 

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週、続伸した。77.57円の打診で年初来高値の更新を射程圏に収める。週足では11月から連続陽線を形成し、年初来高値78.47円の更新なしでは勢いが留まらないであろう。米ドル全面安が本流と認定できるなか、受け皿として豪ドル対米ドルは買われており、上値余地の大幅拓きで豪ドル/円の高値更新も規制路線とみる。

日足で、最も大きなサインは11月9日の急伸であり、メイン抵抗ラインのブレイクをもって内部構造を鮮明に示唆。従来のブルトレンドへの復帰を果たしたと見なし、先週までその継承で上値トライ自体は問題ではない。先週も指摘したように、本来すでに高値更新を果たしていたとしてもおかしくないが、米ドル/円の軟調で上昇モメンタムが限定され、ユーロ/円に比べると「出遅れ感」がある。

しかし、米ドル/円と違って、豪ドル/円は11月に入ってから連勝を記録し、ブル基調へと復帰している。また強気構造の証左として、10月高値の更新は重要であったことも既述の通りである。先週の続伸で10月高値76.54円のブレイクを果たし、ブル基調を確認したとみる。同サインを重視する場合、先週の続伸が大きな意味合いを持つ。

言ってみれば、8月31日高値78.47円を起点とした反落波、10月末安値73.13円までの反落自体が典型的なジグザグ構造を示し、同反落を証左するには10月高値のブレイクが1つの物差しであった。ゆえに、その後の続伸や高値トライがあって、ジグザグ調整子波の終焉を示唆する。またブル基調への復帰を示したと見なされ、先週の値動きで確信を得られたから、ここから年初来高値を更新していく流れが加速するであろう。

そうなると、仮に米ドル/円の下値打診があっても、76~77円関門前後のメイン支持ゾーンを割らない限り、ブル基調の継続が有力視され、また必然的に年初来高値のトライにつながる。従来の抵抗ゾーンが一旦突破されると、一転して支持になりやすいという経験則において、「何らかの材料なしでは76円関門を安易に割り込めない」という見方は先週指摘の通りである。先週の続伸があったため、同支持ゾーンを77円関門前後へと上方修正する必要もある。

11月9日の大陽線は、途中の加速の象徴としてブルモメンタムの維持を示唆する。同大陽線が否定されない限り、10月高値の更新が「ホンモノ」と認定でき、また前記ブル構造の維持につながる。先週の続伸で一段と確実となり、割り込むリスクは当面見当たらないだろう。

したがって、8月末高値から10月末安値まで2ヶ月間かかった調整子波が、11月9日大陽線をもって終焉が証左された以上、年初来高値の更新はむしろ自然な成り行きであり、3月安値を起点とした大きな上昇波の一段延長も当然視される。年初来高値の打診があれば、心理大台の80円心理大台の打診が射程圏に入る。米ドル全面安の流れが強まる中、年内達成の可能性が大きい。

2ヶ月間の調整があったからこそ、3月安値を起点とした大型上昇波がより健全化され、上値追いしやすい環境にあることも先週の指摘の通り、先週の続伸で一層トレンドの鮮明化をもたらした。

「リスクオンの円高」の見方が間違いであると証明された以上、豪ドル高の流れも一層鮮明になっていくであろう。場合によっては、「押し目待ちに押し目なし」のリスクさえあり、今週の上値追いも一手になるだろうか。