投資に使うお金は「余裕資金」で
投資が上手くいったとき、人は欲張りになりがちです。「もっと投資金額を増やそう」と、手元のお金をすべて投資に回そうとしてしまう人もいます。
しかし、それはとても危険なことです。世の中、何が起こるか分かりません。例えば、2020年のコロナ禍は誰も想像できなかった事態ですよね。
投資は必ずこの「余裕資金」で行うことが大切です。
仕事、健康、様々な面で「万が一」という事態は起こり得ます。その時、すぐに使えるお金が手元にないと大変なことになります。
通常、そうした予備資金は月々の収入の3~6ヶ月分と言われますが、現在のような非常事態を考えると、少なくとも6ヶ月分は用意しておきたいものです。予備資金は流動性資金として、いつでも引き出せる普通預金などにキープしておきます。
「余裕資金」とはどういうものか
ここで、改めて自身の収支の把握が重要になります。月々の収入から「必要な支出(生活必需資金)」を除いた残りが「余裕資金」になります。
投資額を増やすのであれば、まず余裕資金を増やすこと、すなわち収支を改善することを考えなければなりません。
収入を急に増やすことは困難です。そのため、まずは無駄な支出をなくすことを心掛け、予備資金と生活必需資金には手をつけないよう気をつけましょう。
このように実際の生活面でのリスクを回避していても、投資で突然の暴落に見舞われるリスクはあります。余裕資金で投資をしないと、こうした場面で生活面にまで被害が及んでしまいます。
相場に上がりっぱなしはありません。相場は上がれば下がり、下がれば上がりを繰り返しています。変動の大きさや、かかる時間、スピードはその時々で異なります。しかし、上昇スピードが速ければ、その分急落しやすいものと私は考えています。
長期投資に必要な情報
長期投資を行う上では、そうした市場の変動要因の1つである景気循環を理解しましょう。景気や市場動向を知るには、各種の経済指標が参考になります。
ニュースなどで「完全失業率」や「消費者物価指数」、「鉱工業生産指数」といった言葉を耳にしたことはないでしょうか。これらの指標が意味することを調べたり、考えたりすることは、投資に影響のある経済動向を知るきっかけに繋がります。
短期売買と異なり、長期投資の場合はトレンドを掴むことに主眼が置かれます。
新聞では限られた指標しか載っていないことも多く、タイミングも遅くなりがちです。また、新聞では日本など主要国については記事になりますが、新興国の指標はあまり載っていません。
瞬時の売買を目的としていなくとも、情報は早いに越したことはありませんので、それにはネットの情報を活用しましょう。
利用している金融機関にもよりますが、経済指標の予測や結果などを確認できる各種経済指標の発表カレンダーのようなサービスが提供されていることもあります。
はじめのうちは、実際の数値を見てもピンとこないかもしれません。しかし、これらの数値をアナリストによるレポートや市場関係者のコメントなどと一緒に見ていくことで、景気トレンドを大まかにつかめるようになってくるでしょう。
株価暴落に備える方法・心構え
過熱気味の市場で、近い将来の暴落に不安を感じるのであれば、上昇相場のうちにリアロケーションをしておくことも1つです。そこまでしなくとも、早めにリバランスをし、利益を確定した上で全体の投資額を縮小し、流動性資金を一時的に膨らませておく(安全資産に避難しておく)ことは、プロの間でも行われている方法です。(リバランスやリアロケーションについての詳細は前回記事をご覧ください)
長期的に投資を行っていれば、必ず暴落や景気低迷期はあります。それらを乗り切って投資を継続していくためにも、「世の中のトレンドを掴む」、「無理はしない」、の2点を心しておきましょう。