株高トレンドと緩やかな円高トレンドの連動

先週の米ドル/円は103円台まで下落しての引けとなりました。米ドル/円は依然として小動きの印象の強い展開が続いています。ただ遠目に見ると、6月頃から緩やかな下落トレンド(米ドル安・円高)が続いているといえそうです(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円の推移(2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

この米ドル/円に、米国株、NYダウを軸反転させて重ねてみると、細かい上下動はともかく、3月の「コロナ・ショック」の株暴落が一段落した後からの株高トレンドと米ドル/円の下落トレンドがほぼ連動してきたことがわかるでしょう(図表2参照)。

【図表2】米ドル/円とNYダウ(2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ところで、そんな米ドル/円の緩やかな下落トレンドには、ある「法則」がありました。それは、90日MA(移動平均線)を上限に、そして90日MAを2%下回った水準を下限にしたレンジ内で上下動するというもの(図表3参照)。

【図表3】米ドル/円の90日MAからのかい離率(2020年4月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

要するに、ここまでの米ドル/円の緩やかな下落トレンドは、米国株の上昇トレンドの中で、90日MAを上限、それを2%下回った水準を下限としたレンジ内で上下動するといった「法則」のもとに展開したものだったわけです。

では米国株の上昇トレンドが続き、緩やかな米ドル/円下落トレンドが続くことになるのか。その場合、上述の「法則」にも変わりないなら、徐々に米ドル/円反発は105円以上も限られ、103円割れへ下値を切り下げる見通しになります。それとも、かりに米国株が下落トレンドに転換したなら、米ドル/円の下落トレンドにも変化が出てくるのか。

緩やかな円高継続か 加速するなら鍵は株か

ところで、米ドル/円が90日MAを2%下回ったレンジ下限をトライしたのは、最近では9月中旬と11月初めの2回でした。この2回は、NYダウが最大1割程度下落するといった具合に、米国株の下落が継続的に展開した局面でした(図表4参照)。そして、結果的にはこの2回とも、米国株安が一段落すると、米ドル/円の下限ブレークも未遂に終わったのでした。

【図表4】米ドル/円とNYダウ (2020年8月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上のように見ると、米国株上昇トレンドの中で展開してきた米ドル/円の緩やかな下落トレンドですが、それが加速するかの一つの鍵は、米国株の下落がどこまで広がるかということではないでしょうか

ちなみに、足元の米ドル/円の90日MAは105.4円程度。それを2%下回った水準は103.3円程度といった計算になります。米国株上昇トレンドが続き、下方シフトするこのレンジ中心に上下動しながら緩やかな下落トレンドが続くのか、それともレンジを下方向にブレークするためには、NYダウが1割以上の下落に向かうなど株安の拡大が必要ではないでしょうか。