上院選のジョージア州の勝敗が来年1月5日の決選投票に持ち越されることになった。与党共和党の現職パーデュー氏と民主党候補オソフ氏のいずれも得票率が50%を下回ったため。同州で行われたもう一組の上院議員選(補欠選)も、共和党現職ケリー・ロフラー氏と民主党候補ラファエル・ウォーノック氏が決選投票に進む。こうなると上院の議席が共和党・民主党で50:50になる可能性も出てきた。議席が50議席ずつであれば、副大統領が上院議長として投票できるため、バイデン氏が大統領選で勝った場合、上院は民衆党が制することになる。そうなれば、今や市場が嫌う「ブルーウェーブ・シナリオ」の復活である。先週の相場上昇は「ブルーウェーブ・シナリオ」が後退したことが背景にあった。バイデン大統領になっても上院の過半数を共和党が維持する見通しが台頭すると大型財政出動期待は後退し金利が低下、ハイテク株などのグロース株に買いが向かった。大幅な増税やハイテク企業への規制強化などの政策は実現しにくくなるとの見方もハイテク株高の追い風になった。ところが、再び雲行きが怪しくなってきた。相場はシナリオの見通しで先週上げた分の揺り戻しを迫られるだろう。

ただし、大きな調整にはならない。理由のひとつは、バイデン氏の当選が確定したことだ。接戦州のペンシルベニア州での勝利が確実になり、獲得した選挙人の数が全米総数の過半数に達した。ただトランプ氏は敗北を認めず、法廷闘争で続投の道を探る構えだ。今後、司法の判断や再集計の結果などによっては、複数の接戦州で開票結果が揺らぐ可能性が否定できない。しかし、ここまでくればマーケットが嫌う不確実性は大きく後退している。相場の基調は堅くなるだろう。
もうひとつの理由は日経平均が29年ぶり高値を更新したことで相場のセンチメントが改善しているうえ、売りで向かった向きが踏みあげられていることだ。下がったところはすかさずショートカバーが入るだろう。

中国が土曜日に発表した10月の貿易統計によると、輸出額は前年同月比11.4%増の2371億ドルだった。増加は5ヶ月連続で伸び率は19年3月(14.2%)以来、1年7カ月ぶりの大きさとなった。日米欧や東南アジアなど主要国・地域向けが軒並みプラスで、中国の貿易の回復ぶりが顕著になっている。バイデン政権誕生となればなおさら中国の貿易にプラス材料が増えるだろう。今週は独身の日もある。消費の回復も確認できれば一段と中国経済に対する期待が高まる。中国関連銘柄がにぎわいそうだ。

以上を総括すると、今週は悪材料(ブルーウェーブ復活の可能性浮上)と好材料(バイデン氏勝利確定と相場のセンチメント改善)が拮抗し高値波乱の展開が予想される。