投資歴35年以上、200以上もの優待銘柄を保有する人気優待ブロガーの夕刊マダムさん。前編では株主優待にハマったきっかけや、銘柄の選び方などを伺いました。後編ではコロナ禍による優待生活の変化や最近もらって嬉しかった優待品などについてうかがいました。

1つ1つの勝ち負けにこだわるのではなく、トータルでプラスになることが大事

人気ブログ「夕刊マダムの悠々優待生活」を運営する株主優待大好き主婦の夕刊マダムさん

――2020年は、コロナ禍の影響で株主優待の「廃止・改悪」も多く聞かれます。このようなリスクに備えていることはありますか?

今年、私も「この優待がほしい!」と思って株式を買ってすぐに株主優待が廃止になった企業もあり、残念な想いもしています。

このような経験から、株価の上昇に対して高価な株主優待を出している企業は(優待の廃止・改悪)「リスクが高いのではないか」と考えるようになりました。企業によって他社の製品やサービスを株主優待として提供するより、自社製品を提供したほうがコストもかからないと思います。ですので、自社製品やサービスを株主優待にしている方が安心かもしれません。

――優待が廃止になった銘柄は売却していますか?

株主優待を廃止した企業の中でも配当がよく、また株価も上がっているところもあります。そのため企業側が優待を廃止した理由が納得できるものであれば、保有を継続していれば利益が出る可能性が高いと考えています。「短気は損気」という言葉の通り、焦って売ってしまわないようにしています。

――コロナショックでダメージは受けませんでしたか。

コロナショック時には株主優待投資の仲間同士でも「どうする、売る?」という話が出ていました。その後も「もう怖くて株を持ち越しできない」と言っていた個人投資家の方もいて、それも1つの考え方だと思います。

でも私自身は、「応援したい企業の株をできるだけ長く保有する」というスタンスを続けてきました。ですので、コロナショックの時も損切りはしませんでしたし、今(2020年10月上旬現在)では私の保有しているほとんどの銘柄の株価は回復してきました。

株価が暴落していたなか、「今が買いではないか!」と感じた銘柄もあったのですが株式投資に回す現金がなかったために手を出せませんでした。いつも目一杯買い過ぎていた…と反省しました。そのため、今後は株価暴落時にも備えられるようにある程度の現金を予め準備しておきたいと思っています。

――これまでに投資をやめようとは思ったことはありませんか。

長年投資をしているので、失敗もたくさん経験しています。保有銘柄が上場廃止になってしまったことも。でも、終わったことはしょうがない。そう思って、すぐ気持ちを切り替えていますね。1つ1つの勝ち負けにこだわるのではなく、トータルでプラスになることが大事だと思っています。

コロナ禍での優待生活、何が変わった?

自粛期間中、JTの株主優待で届いた冷凍のさぬきうどん

―コロナ禍で優待選びに変化はありましたか?

以前は優待の内容が食べ物ですと、味が好みでない場合もあるので、食べ物の優待は避けるようにしていました。しかし、コロナ禍であまり外出が出来ないなか、レトルト食品など食べ物の優待が届くのは非常にありがたいことだと思うようになりました。

また、コロナの前はトイレットペーパーやマスクなどの消耗品も優待でもらうより、自分でドラッグストアで買えばいいじゃないかと思っていたのですが、優待のQUOカードを持っていてもお店に商品がない…という事態が起こり得るんだなと実感し、考え方が変わりましたね。


――最近、もらって嬉しかった優待ギフトは?

サックスバーホールディングスの株主優待で届いたトランク

サックスバーホールディングス(9990)の株主優待でいただいたトランクがお気に入りです。早くこれを持って旅行に行きたいなと思っています。

また、ツカモトコーポレーション(8025)の優待品、ラルフローレンのタオルも可愛くて愛用しています。

――今、どのような企業に注目されていますか。

変化がめまぐるしいなかで新しい価値を生み出そうとしている企業に注目しています。例えば2019年マザーズに上場したギフティ(4449)はちょっとしたギフトをLINEやメールで相手に贈れるサービスを展開されています。かしこまったプレゼントまではいかないけれどお礼がしたいときなどにも使えるサービスで、会わなくも渡すことができ、新しい贈り物の文化を創り出しているなぁと思って注目していました。

私は基本、優待株や高配当株を長期で保有するスタンスでしたが、最近はビジネスモデルに共感できる企業や今後成長しそうな企業に着目し、利益が出たら、その分で優待株や高配当株への投資を検討するようにしています。

株式投資をすることは社会参加につながる

――これから投資や株主優待を始めたい人へアドバイスをいただけますか。

普段よくいくお店でなんとなく過ごしたり、テレビのCMなどをただボーっと観るのではなく、「この商品は、どこの会社が作っているのだろう?」、「他にどのようなことをやっている会社なのだろう?」と、日常の生活の中で気になる商品を自分で調べたり、世間で何が流行っているのか…など常にアンテナをはり、観察しながら過ごすことが大事だと思っています。

そうすることで、投資に活かせる発見に出会い、マーケットとのつながりが見えてくるのではないでしょうか。また、私は株主総会にも可能な限り出席し、情報収集をしています。株主総会に参加することでこれまで自分自身が知らなかったサービスを展開していることや事業内容や状況を把握することもできますし、それぞれの企業の方針や考え方を知るよい機会にもなっていると思います。

昔に比べて今は取引手数料も比較的安くなり、株式投資へのハードルは以前より低くなってきたように感じます。私は、株式投資をすることは社会参加につながると思っています。投資の世界に興味をもってみると、想像以上にたくさんの発見があると思いますよ!

――ありがとうございました。

(※)本インタビューは2020年10月8日にオンラインで実施しました。