中国のインフレが2011年に入ってから高進しており、6月の消費者物価指数(CPI)の成長率は前年同期比6.4%増となり、3年ぶりの高値を更新していました。そして、アナリストらはそろそろピークで7月のCPIは若干落ち着いて6.3%増程度になるという予測を出していたのです。

ところが、8月9日、中国国家統計局が発表した7月のCPIは、6.5%増となり6月からさらに加速し、再び2008年6月来の最高値を更新しています。種目別に見てみると、食品価格が引き続きCPIを押し上げる牽引役となっています。7月の食品価格指数は前年同期比14.8%増。そのうち、豚肉価格は56.7%増となっています。また、7月の生産者物価指数(PPI)も7.5%増となり、6月の7.1%よりも加速している状況です。

CPIの高止まりで、中国人民銀行(中央銀行)は矢継ぎ早に金融引き締め策を打ち出してきました。たとえば、7月7日には2011年で3回目の利上げを発表し、1年物の定期預金金利を0.25ポイント増の3.5%に引き上げています。そして、金融引き締め策を受け、企業の成長スピードはスローダウンしています。8月1日に発表された7月の購買担当者指数(PMI)は6月比0.2ポイント減の50.7にまで下がり、29ヶ月振りの低い水準となっています。さらにHSBC中国のPMI指数は7月に景況感の分岐点である50を下回っています。そして、7月のCPIがさらに上昇したことで、さらなる引き締めの懸念があります。

ただ、実際の株価の動きを見てみると、また違う見方も出来ます。7月のCPI発表を受け、8月9日の上海総合指数は一時的に2437.68ポイントという約1年間振りの安値を付けていましたが、後場には大幅に回復し、終値は0.3%安の2526.07ポイントに戻っています。

その理由について、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の米国債格下げに伴う国際金融市場の混乱で、上海総合指数は8月8日にすでに3.8%安と先行して下落していたからという見方もありますが、依然として中国本土では、CPIは今度こそ今回発表された7月が高値で、これからは年末に向けて下がっていく可能性が高いと見ている人が多いのではないかと思います。

国際金融市場の混乱と欧米経済のスローダウン懸念から商品価格は大きく下がっており、たとえば原油価格は80ドル台で推移しています。いずれ、その効果が出てくれば、消費者物価指数も下がり、金融引き締めも緩和されて株価の回復につながるのではないかと思います。