2011年5月の香港小売業の販売データを見てみると、物価変動による影響を除いた小売総額は前年同期比21.6%増となっています。そして1~5月の小売総額は23.6%増です。香港政府のスポークスマンによると、中国本土からの観光客の増加によって、今後数カ月の小売業は良い成長が続く見通しとのこと。

5月の香港への中国本土観光客は23.4%増の211万人に拡大しています。このため関連企業は好業績を発表しています。個別の販売品目を見ると、やはり高級品が人気です。中国では高い関税がかかるために香港で購入した方が2~3割前後安く購入できるためです。実際のところ、2011年1~5月、香港のジュエリー、時計、及びその他の高級品の販売量は49%も増加しています。

香港の時計販売大手である東方表行(00398)は6月16日に2011年3月末までの通期決算を発表しましたが、売上は18.7%増の38.5億香港ドル、純利益は95%増の2.2億香港ドルです。東方表行はロレックスの販売代理で香港最大手であり、中国本土で唯一のロレックスの卸売業者でもあります。現在は香港、マカオ、台湾で小売店16店を持つほか、中国本土で37店を展開しています。売上の70%は香港市場の収入ですが、その内の50%は中国本土観光客によるものです。

また、香港、マカオ及び中国本土で高級時計とジュエリー販売を手がける英皇鐘表珠宝(00887)の販売も好調です。2011年1~5月の既存店売上成長率は30%以上であり、今後毎年中国本土で10店~20店を開店する計画。化粧品も好調です。7月13日、香港最大手の化粧品小売チェーンである莎莎国際(Sasa、00178)は2011年4~6月の売上が前年同期比35%増になったと発表しています。本土観光客の増加は依然として香港部門の売上成長を牽引しており、中国本土、シンガポール、マレーシア、台湾などの市場における売上が21%増であるのに対し、香港、マカオ市場の売上は39%増と高い成長となっています。

中国政府は中国国内の高級品消費を拡大するため、高級品を含む一部商品の輸入関税を引き下げることを検討していますが、実際に大きく引き下がるまでには時間がかかり、現在はそれがいつになるのか分かっていません。その間は香港の小売企業は良い業績が続くと思いますし、これらの企業は中国本土へも進出している企業が多いので、輸入関税が引き下げられたあとも、成長が続く可能性があります。なお、その他の関連企業としては、金・ジュエリー販売最大手の六福集団(00590)、ダーバンなどの高級紳士服ブランドショップを運営する利邦(00891)などがあります。さらに、六福集団よりも遥かに知名度も高く、規模の大きな「周大福」も近く上場かという噂もあります。