金価格は先週、2011年4月以来となる史上最高値を更新し、初めて1,600ドル台に到達しました。金は米ドルで取引されているため、米ドルの価値が下がると反相関的に金価格は上昇することになります。米国の景気がまだ本回復に至っていないとするならば、米国はさらなる緩和政策を採る必要があり、そうなればドル安と金価格上昇は一層進むことになる可能性があります。むろん、欧州の債務問題などによる安全資産への資金シフトも金価格にとっては追い風です。金価格が上昇してくれば、注目できるのは産金株です。

中国はインドを抜いて世界最大の金の投資需要があります(宝飾品の実需需要はインドが最大)。2010年の上海黄金取引所の金製品の取引量は同28.5%増の6046.1トンで、取引額は同57.1%増の1.6兆元でした。また、2010年の中国の金産出量は前年同期比8.6%増の340.88トンと過去最高を更新し、4年連続で世界最大の金算出国となっています。中国の金産出の歴史を振り返ってみると、1949年の建国当時、中国の金産出量はわずか4.07トン、1975年でも13.8トンでした。1970年代後半から、中国政府は金産業への投資を拡大し、急成長の段階に入っています。金産出量は1995年に100トン、2003年に200トン、2009年に300トンを超えています。2007年、中国は初めて南アフリカを超え、世界最大の金産出国となっています。

現在、中国では金産出量で上位5位の地域は山東、河南、江西、雲南、福建で、5省の金産出量合計は中国全体の59.8%を占めています。金生産企業は2002年の1200社から現在には700社にまで絞られ、上位10社の金生産量の合計は167.7トン、全体の49.2%を占めています。今後はさらに上場企業を中心とした大企業への集約化が進むのではないでしょうか。実際のところ、金価格上昇と販売量拡大で、金鉱企業は好調な運営を続けています。香港市場には金保有埋蔵量最大手の紫金鉱業(2899)や、金価格に株価が素直に連動する傾向を持つ招金鉱業(1818)といった代表的な産金銘柄があります。その他にも霊宝黄金(3330)、中国黄金国際(2099)、中国貴金属資源(1194)といった関連銘柄があります。