2010年の太陽光電池の各国の需要を見てみると、ドイツ42%、イタリア21%、それ以外のEU18%、アメリカ5%、日本5%、その他9%となっています。しかし、世界の主要太陽光発電市場となっているドイツとイタリアにおいて、政府が太陽光発電に対する補助金政策を縮小する可能性があることから、太陽光発電の設備投資が落ち込んでいます。

それによって、太陽光発電関連製品の在庫が大きく増加し、販売価格も値下がりしています。2011年4月1日から6月末までに、現物市場においてポリシリコンの販売価格は約40%値下がりして53.7米ドル/キログラム(kg)になっています。シリコンウエハーも40%値下がりして0.54米ドル/ワットに、太陽光電池モジュールも27%値下がりの1.13米ドル/ワットとなっています。

しかし太陽光発電業の悪材料は出尽くし感があり、好材料も出始めています。まず、ドイツですが、年間の太陽光発電の新規設備容量が3.5GW(ギガワット)を下回る場合は、補助金の引き下げを実施しないことになっています。2011年3~5月のドイツの新規設備容量は僅か700MW(メガワット)で、年換算で3.5GWを下回ることになるため、予想された3%~6%の補助金の削減はなくなる可能性があります。

その一方で、中国政府は太陽光発電の設備容量拡大を加速する計画があるとの観測もあります。従来の計画は2015年に太陽光発電の設備容量を5GW、2020年に20GWまで拡大する計画でした。現在はこの計画を2015年に10GW、2020年に50GWに引き上げようとしているようです。

現在、シリコンウエハー、モジュールの価格は下げ止まってきています。ここまで価格の動きについて様子見をしてきた顧客が価格の下げ止まりで、これから注文を増やす可能性もあります。そして、実際のところ太陽電池大手の販売は6月から徐々に回復しています。6月の販売量は5月の販売量を20%上回っており、在庫も減少し、一部の大手企業の工場稼働率は50%程度まで低迷していたものが、70%~80%の水準に回復しています。

そして、太陽光発電関連の部品メーカーの株価も調整から回復へと向かっているようです。中国株の太陽光発電関連銘柄には、ポリシリコンの世界大手である保利協シン(03800)、ポリシリコンから多結晶及び単結晶のインゴッドとウェハーを生産する陽光能源(00757)、コムテックソーラー(00712)、太陽光製造装置を販売する唯一の香港銘柄であるアポロソーラー(00566)、太陽光発電セルを製造する中国最大手であるサンテックパワー(米国ADR:STP)などがあります。