【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 26,870.10 △227.51 (7/15)
NASDAQ: 10,550.49 △61.92 (7/15)
1.概況
米国市場はバイオ製薬のモデルナ(MRNA)が開発中のワクチンの臨床検査で参加者全員にウイルスの抗体の生成が確認できたと発表するなど新型コロナウイルスワクチンの開発進展への期待から続伸となりました。ダウ平均は367ドル高でスタートすると取引開始直後に428ドル高まで上昇しましたが、買いが続かず弱含むと昼過ぎに49ドル高まで上げ幅を縮めました。しかし、その後持ち直すと引けにかけて上げ幅を広げ結局227ドル高の26,870ドルで取引を終え4日続伸となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も61ポイント高の10,550ポイントと続伸となりました。
2.経済指標等
6月の米輸入物価指数は前月比1.4%上昇し市場予想を上回りました。米輸出物価指数も1.4%上昇し市場予想を上回っています。7月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数も17.2と前月から上昇し市場予想を上回りました。6月の米鉱工業生産指数も前月比5.4%上昇し市場予想を上回っています。設備稼働率も68.6%と前月から上昇し市場予想を上回りました。また、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で米連邦準備制度理事会(FRB)は経済活動がほぼ全ての地区で上昇しているものの、新型コロナウイルスのパンデミック前よりもはるかに低水準で、景気の先行きはかなり不透明だとしています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち公益事業を除く10業種が上げました。そのなかでも資本財・サービスが2%以上上昇したほか、エネルギーと金融も2%近く上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中25銘柄が上げました。そのなかでもボーイング(BA)とレイセオン・テクノロジーズ(RTX)が4%以上上げ、アメリカン・エキスプレス(AXP)とダウ(DOW)も2%を超える上昇となりました。一方でユナイテッドヘルス・グループ(UNH)が決算で売上高が市場予想に届かなかったことで1%以上下げています。
ダウ平均構成銘柄以外では、新型コロナウイルスのワクチンの開発進展への期待が高まるなか旅行・レジャー関連株が買われました。クルーズ船のカーニバル(CCL)が16%以上上げたうえ、ロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)も21%を超える上昇となりました。空運株ではデルタ航空(DAL)が9%以上上げ、アメリカン航空グループ(AAL)も16%を上回る上昇となりました。ユナイテッド航空ホールディングス(UAL)も14%以上上げています。
さらにホテルのヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT)が10%高となったうえ、ネット旅行予約のエクスペディア(EXPE)も9%を超える上昇となっています。また、ギャップ(GPS)が投資判断と目標株価の引き上げを受けて13%近く上げています。オランダの半導体製造装置メーカーのASMLホールディング(ASML)は決算で売上高と1株利益が市場予想を下回ったことで5%以上下げています。
5.為替・金利等
長期金利は変わらずの0.63%となりました。ドル円は106円90銭台で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は昨日に大幅高となった反動でやや売り優勢でのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が底堅さをみせ切り返すような展開をみせるかがポイントとなりそうです。また、本日は日本時間の11時に中国で4-6月期のGDPをはじめ経済指標が数多く発表されることから注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)