前回のコラムでは、「金利の死」による様々な影響について書きましたが、ちょうど先週の日経新聞でも「外貨運用 頼れぬ金利収入」という特集が組まれ、私自身もその取材に応じました。その際に聞かれた「今後、どのような点に留意して投資を検討すべきか」について、お話したいと思います。
金利収入が期待できないときの投資ポイント
金利収入が期待できないとなると、FX投資や外貨預金といった外貨運用においては主に為替差益しか期待できなくなります。この為替差益は為替市場の値動きから得ようとする利益ですから、当然差損にもなりえます。
日本円から投資して最終的には日本円に戻すという前提に立てば、「相手通貨安、日本円高」で購入し、「相手通貨高、日本円安」状態で売却しなければ利益になりません。しかもここから売買手数料を差し引いて、初めて本当の利差益が出ます。
FX投資でスワップポイントを稼げる?
FX投資においては日本円がどの通貨よりも金利が低いという状況であれば、外貨の買い持ち(ロング)により日毎スワップポイント(金利差)を稼げるものですが、現状下手をするとスワップポイントの支払いになる可能性すらあります。
そのため日本より高金利である新興国通貨のFX投資も人気があるようですが、スワップポイントを稼ぐ以上に為替市場の乱高下により大きく為替差損を出す可能性も高い状況です。それどころか、流通規模の小さい通貨では売りたくても買い手がいないまま大暴落…ということも十分ありえます。
スワップポイントを気にせず、つまりは1日以上保有しないデイトレード、もしくはもっと短い時間で決済するスキャルピングという手法で取り組む投資方法であれば、純粋に為替の値動きを追うことが可能です。
しかし、これまでも度々書いてきたように為替の値動きの要因は実に複雑に絡み合い、プロであっても常勝は難しく、リスクが高い投資です。投資初心者におススメとは言い難く、かつライフプランに基づく長期投資計画とはあまり相性のよい投資ではありませんね。
コスト低下で魅力高まる、為替ヘッジ付投資
では投資初心者にとって外貨建て投資は全く旨味がなくなってしまったのでしょうか。金利差がほとんどないということは為替のヘッジコストが極めて安くなっているということです。為替予約におけるヘッジというのは先物の為替予約を入れることですが、その先物為替というのはスポットの為替レートと金利差であるスワップコスト(ポイント)の組み合わせによって計算されます。
投資信託の中には為替ヘッジを入れているものも多く、今はそのコストも低くなっているということ。現在、世界の主要株式市場もコロナショック後の「コロナ・ラリー」の影響もあってかなり上昇しています。実体経済との乖離は不安視されてはいるものの、長期的に見ればリターンも十分に期待できます。
プロの判断による海外株式の銘柄選択に低コストで為替ヘッジがつけられている投資信託であれば、投資初心者にとって魅力の高い投資対象商品と言えそうです。もちろん、為替がヘッジされていたとしても株式への投資ですから、価格変動など様々なリスクがあることにご注意ください。