株式市場で新型コロナウイルス懸念が再燃した背景

為替相場は、6月にかけて対円以外で米ドル安が大きく進んだが、対豪ドルで0.7ドル、対ユーロでは1.14ドルで一服となった。これは、6月以降、株価の反落傾向が広がり、リスクオフの米ドル買いが増えたためとの理解が基本だろう。では、このリスクオフの米ドル買いは、7月も続くだろうか。結論的に言うと、リスクオフはそろそろ一段落に近付いてきたのではないかと考えている。

最近にかけて株価の反落が目立ってきたのは、新型コロナウイルス感染問題へ改めて神経質になってきたことが一因だろう。これは、「感染第2波」などCovid19(新型コロナウイルス感染症)問題への懸念が再燃してきたからだろうか。それもあるかもしれないが、ある意味ではそれ以上に、株価が「上がり過ぎ」となったことから、悪材料に過敏に反応しやすくなった影響が大きかったのではないか

NYダウの90日MA(移動平均線)からのかい離率は、6月8日には11.6%まで拡大した(図表参照)。同かい離率が10%以上に拡大したのは、2000年以降では今回が4回目。その意味では、かなり「上がり過ぎ」懸念が強くなっていたと考えられる。

【図表】NYダウの90日MAからのかい離率(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
  

「上がり過ぎ」懸念が強くなると、下落リスクには過敏になりそうだ。以上のように見ると、「新型コロナウイルス感染」問題への懸念が再燃してきたということもあるだろうが、それとは別に「上がり過ぎ」の株式市場が悪材料に反応しやすくなっていた面も重要ではないか。

「上がり過ぎ」修正を重視するなら、90日MAからのかい離率から似たようなケースは2003年6月と2009年6月だ。この2つは、同かい離率がゼロまで縮小すると、株価反落は一巡した。足元のNYダウの90日MAは2万4100ドル程度。

以上をまとめると、NYダウが2万5千ドルを割れてくると、「上がり過ぎ」が緩和することで、新型コロナウイルス問題のような悪材料への反応は鈍くなる可能性があるのではないか